【PDCA&ツール紹介】データドリブンマーケティングの具体的手順
流通するデータ量が増え続けるこの時代、適切にデータを活用できるか否かは、企業としての業務効率や意思決定のスピードに大きく影響します。勘や経験則ではないデータを根拠としたマーケティング手法「データドリブンマーケティング」の重要性も各業界で注目されるようになりました。
この記事では、企業がデータドリブンマーケティングに取り組む際の具体的手順と活用すべきITツールをご紹介します。
データドリブンマーケティングの具体的手順
データドリブンマーケティングを成功させるためには、その流れを理解し、順序立てて行動することが欠かせません。さっそくその具体的な手順から見ていきましょう。
なお、データドリブンマーケティングそのものに興味のある方は、以下の記事もあわせてご参照ください。
データ収集
最初のステップはデータの収集です。収集すべきデータは多岐に渡りますが、以下のようなものがよく活用されています。
- 顧客の属性(年齢・性別・職業・興味関心・家族構成・交友関係など)
- 自社製品・サービスの購入履歴
- 製品・サービスや自社に対する満足度
- セミナー等によるアンケートの入力内容
- Webサイト上の行動履歴(ページ読了率・離脱率・コンバージョン率など)
最初からすべてのデータを集めようとするのではなく、「何を目指してデータドリブンを導入するのか」を明確にし、その目的に沿ってデータの収集範囲を絞るのがポイントです。無造作にデータを集めすぎては分析の負担が大きくなり、どうやって活用すれば良いのかがわかりにくくなります。
たとえば「自社のWebサイトにおける成約数の最適化」を目指すなら、ひとまずは「Googleアナリティクス」などを使ってWeb上で簡単に収集できるデータをメインに集めるなど、最初から手を広げすぎないことが大切です。
データの可視化(加工)
収集直後のデータは雑多な状態で、そのままでは分析が困難です。収集完了後には、活用しやすいように加工する「可視化」を行います。
可視化の手順は大きく以下の3つに分かれます。
- 不要なデータ(外れ値・異常値・今回の目的には必要ないデータなど)を取り除く
- 要素別にデータをカテゴライズしていく
- グラフや表などを用いて視覚的に見やすくする
これらは手作業で行うのではなく、「R」などの統計分析用のツールやGoogleアナリティクスのようなWeb解析ツールなどの助けを借りながら進めます。
データの分析
データの可視化後はいよいよ分析です。視覚的に見やすくなったデータをもとに自社のマーケティングに役立ちそうな規則性や相関関係を探していきます。
規則性 |
ある条件下では良い・悪い結果となっている |
相関関係 |
ある要素に比例して、もう一方の要素が増加・減少している |
一見して規則性や相関があるように見えても、統計学的に「有意(偶然ではない)」かどうかはわかりません。「偶然、何かの規則性があるような形に見えているだけだった」というケースも多々あります。分析の正確性を担保するためには、「P値」と呼ばれる数字を使って有意かどうかの判断を行うなど、専門知識も必要です。データアナリスト・データサイエンティストの雇い入れや、外部の専門家の活用も視野に入れましょう。
施策や行動計画の策定・実施
分析後は、その結果をもとに具体的な施策や行動計画を策定し、実施していきます。その際に重要となるのが「KPI」の設定です。
たとえば、「30代男性で過去3ヶ月以内に商品Aを購入した人物は広告Bに対する反応が良い」と判明したならば、「コンバージョン率〇〇%の上昇を目指して広告Bを優先表示する」といったような具体的な指標を目標としましょう。「良い結果になりそう」ではなく「コンバージョン率が上がる」という明確な目標を持つと社員間でイメージが共有しやすくなり、施策もスムーズに実行されやすくなります。
効果測定
施策や計画の実行後には必ず念入りな効果測定を行いましょう。
データドリブンマーケティングは一度施策を取って終わりではなく、PDCAサイクルを繰り返すことで効果を発揮します。KPIは達成できたのか、できなかったとすればどのような要因が考えられるのかについて、施策の実行中に収集した新たなデータももとに分析を進め改善していくことが大切です。
データドリブンツールの紹介
ここまで紹介した複雑な手順を上手にこなすためには、以下のようなITツールの活用がその手助けとなります。
DWH:データを蓄積、整理する
DWH(データウェアハウス)は、複数の場所・システムで収集されたデータを時系列や目的に合わせて一元的に管理・整理するためのツールです。
データドリブンの要であるデータ分析を進めるためには、必要なデータを瞬時に取り出せる環境が欠かせません。しかし実務シーンでは「あのデータは部門Aが持っていて取り出すには許可を取る必要がある」など、データが散らばって保存されている非効率な状況が頻発します。
DWHを導入するとこのようなロスをなくせるほか、「データは必ずここに保管しなければいけない」という意識が社内に培われる効果も期待できます。
DMP:広く集めたデータを変換する
DMP(データマネジメントプラットフォーム)は、顧客の情報を収集・管理し扱いやすい形に変換したり分析したりするためのツールです。他社から提供された情報を活用する「オープンDMP」と、自社収集の情報もあわせて活用する「プライベートDMP」の2種類に大きく分類されます。
DMPは、「セグメント」と呼ばれる趣味嗜好などが似通ったグループに顧客を分類することを得意としています。顧客一人ひとりの特性を明らかにするよりも、データ全体のおおまかな傾向を把握するのに活用するイメージです。
CDP:深掘りした顧客データの管理・分析
セグメントを重視するDMPに対して、個人を深掘りすることに長けているのがCDP(カスタマーデータプラットフォーム)です。機能自体はDMPと非常に類似しており、顧客の情報を収集・管理・活用する特性は変わりません。
一方、DMPと異なり個人識別性の高いデータを積極的に取り扱うことから、基本的に自社収集の情報、いわゆる1st Partyデータのみを利用します。最近のプライバシー界隈ではこの1st Partyデータを重視する風潮が強まりつつあり、今後CDPの重要性はますます高まるものと考えられます。
DMPとCDPの詳細については以下の記事でも解説しております。ぜひ併せてご覧ください。
>>データドリブンマーケティングに活用 CDPとDMPの違いを徹底解説
MA / SFA / CRM
MA・SFA・CRMは、それぞれマーケティング活動をサポートしてくれるツールです。実務においては、MAで良質なリードを獲得し、SFAで商談をクローズドさせ、CRMで関係性を維持する、といったように順番に利用されます。
【MA・SFA・CRMの概要】
ツール名 |
概要 |
MA(マーケティングオートメーション) |
リード(見込み顧客)に対するアプローチを自動化。 |
SFA(セールスフォースオートメーション) |
商談の開始から成立まで、次に取るべきアクションなどを提示してサポート。 |
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント) |
顧客とのやり取りなどを保管し、良好な関係の継続をサポート。 |
単純にデータを取得・分析してデータドリブンに取り組むだけでなく、このようなマーケティング支援ツールを積極的に活用することで、企業の生産性はさらに向上させることができます。
効果測定
効果測定に関しても、手動で行うのではなく適切なツールを活用しましょう。以下のようなツールの導入により素早く正確に施策の効果を確認できます。
- WebサイトにまつわるKPIの分析に長けた「Googleアナリティクス」
- 主要SNSの広告効果をまとめて測定できる「PR Analyzer」
前述のとおり、データドリブンマーケティングはPDCAサイクルの繰り返しにより精度を高めていくものです。各ステップで適切なツールを活用し1サイクルにかかる時間的・労力的コストを下げることが、そのまま成功に結びつきます。
まとめ
近年はあらゆるビジネスメディア、ビジネス書籍でデータ活用の重要性が説かれており、業界によっては実際にデータ活用の有無によって生産性に差が生まれています。
他企業に負けないようデータドリブンマーケティングを導入することは、多くの企業にとって喫緊の課題です。ここでご紹介した手順やツールを参考に、ぜひ導入を検討してみてください。
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