Cookie、クッキーの意味とは?マーケティング担当者の必要知識を解説

Cookieデータ管理・活用 2023.02.27
Cookie、クッキーの意味とは?マーケティング担当者の必要知識を解説

Cookie(クッキー)は、Webサイトのブラウジングを快適にしたり、広告配信を最適化したりといった役割を持つ仕組みです。ここでは、Cookieの概要とメリット・デメリット、マーケティング担当者が知っておきたいCookieに関する今後の動向について解説していきます。

また、Cookieと混同されやすい「キャッシュ」がCookieとどのように異なるのかについてもご紹介しましょう。

1. Cookie(クッキー)とは?

Cookie(クッキー)は、サイトに訪問したユーザーの情報を一時保存する仕組み、あるいは保存した情報のことを指します。

たとえば、ネット通販サイトでカートへ入れた商品が、一度ログアウトして再度ログインしたときもカートへ入ったままになっていることはないでしょうか。これは、Cookieによりカート内の情報が保持されているからです。

仮にCookieがなければ、ユーザーは訪問時に毎回一から情報を入力しなければならず、不便が生じます。Cookieは私たちユーザーのブラウジングを快適にするうえで重要な役割を持った仕組みなのです。

1st Party Cookieと3rd Party Cookieの違い

Cookieは、1st Party Cookie(ファーストパーティークッキー)と3rd Party Cookie(サードパーティークッキー)の2つに大別されます。

・1st Party Cookie

1st Party Cookieは、ユーザーが訪れたサイトが発行したCookieのことを指します。例えば、サイトAに訪問したユーザーに対して、サイトAから発行されるCookieがそれに該当します。ログイン情報や先ほど例に挙げたカート内の情報も、1st Party Cookieに分類されます。

・3rd Party Cookie

3rd Party Cookieは、ユーザーが訪れたサイト以外が発行したCookieのことを指します。例えば、サイトAに訪問したユーザーに対して、サイトA以外から発行されるCookieがそれに該当します。主に広告目的で発行されており、サイトAに訪問したユーザーを追跡・分析する役割を持っています。

3rd Party Cookieは複数のサイト間で共有できる特性を持っており、ユーザーのあらゆる行動を観察してマッチ度の高い広告を出すために利用されます。たとえば、一度目にした広告が別サイトに移動しても表示され、まるで広告に「追いかけられている」ような感覚に陥った経験はありませんか?

これは、3rd Party Cookieを活用して、その広告に対する関心度が高いと思われるユーザーへ広告配信をする「リターゲティング」と呼ばれるものです。このようにCookieは、知らず知らずのうちに私たちにとって非常に身近なものとなっているのです。

2. Cookieとキャッシュの違い

キャッシュは、閲覧したページの情報を一時保存する仕組みです。一時保存することで、ユーザーが同じページに再度訪問したときのページ表示速度が速くなります。

一見するとCookieと同じような機能を備えているように思えますが、CookieはID・パスワードなどページに入力した情報を保持する一方、キャッシュはページそのものの視覚的要素をつかさどる情報を保持しているという点で異なります。

このキャッシュの機能はWeb(ブラウザ)に限った技術ではありません。ハードディスクの中で使用頻度が高いデータへのアクセスを速くするためにもちいられたり、OSの処理速度を速めたりするためにも応用されており、私たちがデバイスをスムーズに操作するために欠かせない技術となっています。

3.Cookie利用のメリット・デメリット

Cookie利用のメリット

ユーザー側のメリットは、利便性が高まることです。Cookieの技術を使うことで、情報入力の手間が省けたり、興味関心に沿った情報提供を受けられたりすることが挙げられます。

例えば、ショッピングサイトで一度買い物かごに入れた商品が、再訪問時も買い物かごに入っていることでもう一度カゴに入れる手続きを踏まずに済んだり、一度訪れたサイトでは以前入力した情報が保存されており入力の手間が省けたりするのもCookieの技術によるものです。

利用するブラウザさえ一致していれば、ログインIDやパスワードが保持されるのも嬉しいポイントです。

また、Cookieにより興味関心のあるジャンルが認知され、自分の興味関心に沿った広告が配信されやすくなるメリットもあります。

一方、企業にとってはCookieの利用により、Webサイトに訪問したユニークユーザー数などのアクセス解析や、ユーザー属性・行動履歴等の分析が可能になり、効果的なマーケティング施策を実施することができます。

Cookie利用のデメリット・危険性

一方で、Cookie利用にはデメリットや危険性も存在します。

ユーザーにとっては、入力情報が一定期間保持されるため共用PCなどでは悪用される可能性があることや、閲覧履歴やIPアドレスはCookieの発行元である閲覧サイトや広告事業者側にも保存されるため不正利用のリスクがあることはデメリットであり、Cookie利用の危険性とも言えるでしょう。

一方、企業にとってはリターゲティング広告の過剰利用によるイメージ低下の可能性があります。

Cookieの技術により、自社商品とよりマッチ度の高いユーザーに対して広告配信が可能になりますが、一方で過剰利用をするとイメージダウンにもなりかねません。

ユーザーからみると、何度も同じ広告が表示されたり、別のサイトでも同じ広告に追いかけられているような感覚になるからです。販売促進のための広告が逆に購買意欲を減少させてしまっては元も子もありませんので、広告配信は慎重に行うようにしましょう。

4. マーケティング担当者はCookieに関する今後の動向へ要注目

Cookieは、サービスの消費側にも提供側にも一定のメリットをもたらす存在であるものの、先述の通り、世間では徐々にCookieを規制する流れが強くなっています。ユーザーのあいだで、ユーザーの行動を監視するCookieを嫌う空気感が出てきたからです。

これを受けてApple社は、自社製のブラウザであるSafariにプライバシー保護を目的とした機能である「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」を実装しました。またGoogleも、自社ブラウザのGoogle Chromeにおいて、3rd Party Cookieのサポートを2年以内に打ち切ることを公表しています。(2020年1月発表時点)

(追記:2022年7月に新たにGoogleから発表があり、3rd Party Cookieの段階的な廃止は2024年後半から始まるとされています)

ITPがもたらすネガティブな影響とは?

2020年3月に公開された最新バージョンのITPは、あらゆる3rd Party Cookieをブロックするため、従来通りの広告配信が困難となり、多くのWeb広告にネガティブな影響がもたらされます。

前述のように、ユーザーがブラウジングしている際の行動をもとに同じ商品の広告を何度も表示させるリターゲティングと呼ばれる手段がありましたが、3rd Party Cookieが制限されれば、既存の方法によるリターゲティングは難しくなります。

また、Cookieをもとに集計していたデータが正しく計測されなくなり、CV(コンバージョン=成約)やユーザー属性の正確な判別が困難となることから、分析改善に支障が出ます。

そのため、マーケティング担当者を始めとするWebサイト運営の関係者は、Cookieに関する最新情報のキャッチアップに努め、ITPに代表される最新のCookie規制に対応していかなければなりません。

詳しくはこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。

>>ITPとは?Web広告に与える影響と対策方法

Googleによる3rd Party Cookieの段階的な廃止

Cookieにまつわる大きな動向は、ITPを実装したSafariだけではありません。

Googleは2020年1月、自社のブラウザであるGoogle Chromeにおいて、3rd Party Cookieのサポートを2年以内に打ち切ることを公表しました。その後2度に渡って延期が発表され、2022年2月現在は「2024年後半から3rd Party Cookieの段階的な廃止が進められる」と言われています。

法令によるCookie規制について

ベンダーからの規制以外に、法令による規制も進んでいます。

欧州では、2018年にGDPR(EU一般データ保護規則)が施行されました。GDPRは、世界で最も厳しいプライバシー関連法とも言われています。

GDPRではCookie単体が個人データと定義され、利用には事前に本人からの同意取得が求められるようになりました。

日本でも、2022年4月に個人情報保護法が改正されています。

今回の改正では、新たな概念「個人関連情報」が創設され、Cookieは個人関連情報に分類されます。個人関連情報は、提供先において個人情報と紐付けて利用することが想定される場合、事前に本人からの同意取得が求められるようになりました。

これらの動向により、各社でCMP(同意管理プラットフォーム)の導入が進んでいます。

CMPについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

>>CMPの概要と、導入までの手順・注意点について解説!

Cookie規制による具体的なマーケティングへの影響

以下画像のように、Google Chromeは世界トップのシェアを誇るブラウザです。

image1.png

出所:webrage「WebブラウザシェアランキングTOP10(日本国内・世界)

ITPを実装したSafariに続きGoogle ChromeがCookieを規制することで、今後は3rd Party Cookieを使わないブラウザが業界の標準になることが予想されます。

マーケティングへの具体的な影響としては、以下が考えられます。

  • リターゲティング広告が利用できなくなる
  • ビュースルーコンバージョンの計測が難しくなる

先述の通り、リターゲティング広告は一度サイトを訪れたユーザーに対して広告を配信するために第三者から3rd Party Cookieを発行しています。今後3rd Party Cookieが制限されることで、利用が難しくなります。

現在もリターゲティング広告を実施している企業は、Cookieに依存しないマーケティング手法の導入を検討するなど、早急に対応するようにしましょう。

また、画像や動画広告が表示された際にクリック等を行わず、その後別のサイトでクリックした場合の「ビュースルーコンバージョン」の計測も難しくなります。

5. まとめ

Cookieの規制は、ユーザーのプライバシー保護の観点でいえばポジティブな施策である一方、広告配信を行う事業者やマーケティング担当者にとっては痛手となりかねません。

しかし、今後もCookie規制の流れは強くなると予想されており、今後はSafari以外の主要ブラウザでもITPと同様の制限が実装されると考えられます。Webに携わる多くの事業者はいま、マーケティングが新たな転機を迎えつつあることを理解し、Cookieに代わる技術の登場に注目する姿勢が求められているのです。

公開日:2020年6月29日

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