コンバージョンAPI(CAPI)とは?その仕組みとメリット/デメリットについて解説!

データ管理・活用 2023.02.08
コンバージョンAPI(CAPI)とは?その仕組みとメリット/デメリットについて解説!

世界的にプライバシー保護の潮流が高まる中、各所でCookieに依存しないマーケティング手法が開発され始めています。

その中でも、Meta(旧Facebook)社が開発した「コンバージョンAPI(CAPI)」については、耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、コンバージョンAPIの仕組みとメリット/デメリットについてご紹介いたします。

1.Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)とは

1-1.コンバージョンAPI(CAPI)誕生の背景

近年、世界的にプライバシー保護の動きが強まってきています。

プライバシー保護の規制は主に「各地域の法令による規制」と 「ベンダーによる規制」の2つの方向から働いています。

前者において世界的に知られているのは、EUの一般データ保護規則(以降、GDPR)や、アメリカ・カリフォルニア州のカリフォルニア州プライバシー権法(以降、CPRA)です。

GDPRではCookieは個人情報として規制されており、利用する際には本人からの同意取得などが求められます。また、CPRAでも同じく規制されており、情報の販売・共有に関するオプトアウト措置などを講ずる必要があります。

<参考>
日本のプライバシー関連法といえば、2022年4月に改正された個人情報保護法です。個人情報保護法においては、Cookie情報単体では個人情報に該当しません。しかし、新たな概念として創設された「個人関連情報」には該当し、提供先において個人情報と紐付けて利用される場合には、事前に本人から同意取得することが求められるようになりました。


ベンダーによる規制では、すでにApple社やGoogle社がCookie規制を始めており、Safariでは2020年3月に3rd Party Cookieをデフォルトで完全にブロックする仕様になりました。また、Google社が提供するGoogle Chromeでも、2024年後半には3rd Party Cookieの利用をブロックすると発表されています。

Cookieは、マーケティングの場面でユーザーの行動履歴や趣味嗜好を把握したり、広告の効果(コンバージョン、以降CV)計測をしたりするために活用されています。

そのため、Cookie利用に規制がかかると多くの企業でマーケティング施策に悪影響が出ると考えられ、今後は「Cookieに依存しないマーケティング施策」を確立していく必要があると言われています。

1-2.コンバージョンAPI(CAPI)とは

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このような流れを受け、Meta社が開発したのが、コンバージョンAPI(以降、CAPI)という仕組みです。

これまでのFacebook広告では、「ピクセルタグ」をページに埋め込むことでWebサイトに来訪したユーザーのブラウザ上でCookieを発行し、そのデータを広告媒体に送信してCV計測を行っていました。

※「ピクセルタグ」とは、Webサイトに設置することでFacebook広告の効果計測やターゲティングリストの作成を可能にする、Java Scriptのコードを指します。


しかし、ブラウザが進める3rd Party Cookieの規制により、ユーザーのブラウザ上で発行したCookieを、広告媒体側に送ることが難しくなりつつあります。

そこでMeta社は、ブラウザではなく広告主自身のサーバーで発行したイベントデータを直接Meta社の広告サーバーに送信する仕組みを開発しました。これを、CAPIと言います。

CAPIの活用により、3rd Party Cookieに依存しない広告の計測が可能になりました。

2.コンバージョンAPI(CAPI)導入のメリット

ここからは、CAPI導入のメリットを2つご紹介します。

2-1.3rd Party Cookieに依存しない広告の効果測定手段を確立できる

前述の通り、CAPIは3rd Party Cookieを利用しないため、Cookie規制の影響を受けずに広告の効果測定を行うことができます。

広告主側のサーバーから送信されたデータが、最終的にMeta社の広告サーバーに記録されている情報と突合されることでユーザー情報をマッチングし、効果測定を行うという仕組みです。

Cookie規制が進むこれからの時代のマーケティングにおいて、Cookie規制の影響を受けずCVの計測ができるというのは最大のメリットと言えます。

2-2.CV計測の精度が上がる

これまでのピクセルタグによる計測では、オンラインのデータのみが計測対象でしたが、CAPIの導入により、広告主のサーバーに保存されている他のマーケティングデータとの突合も可能になりました。

つまり、オフラインで獲得したデータ(たとえばタクシー広告やテレビCMからの受注履歴など)とも併せて分析を行うことができます。

また、CAPIと従来のピクセルタグを併用して活用することで、データの取りこぼしを減らし、より精度の高い計測ができるようになります。

Mataのビジネスヘルプセンターにも以下のように記述されています。

コンバージョンAPIのデータをMetaピクセルと比べると、ブラウザーの読み込みエラー、接続の問題、広告ブロッカーの影響を受けにくくなっています。コンバージョンAPIをピクセルと組み合わせて使用すると、接続の信頼性が高まり、配信システムによる顧客獲得単価の削減に役立ちます。 引用:Meta ビジネスヘルプセンター「コンバージョンAPIについて」

広告施策の効果をより正確に把握することにより、広告施策全体の最適化を図ることができるでしょう。

他に、CAPIではデータ連携のスピードが上がるという効果もあります。CAPIでは、サーバーから直接Facebook側にデータを送信して分析が行われるからです。

デジタルマーケティングにおいては、スピード感を持ってPDCAサイクルを回すことが重要ですが、CAPIを活用することによって、今までよりも速いスピードで施策の実施・検証ができるかもしれません。

また、CAPIをピクセルとは別に導入した場合、どのデータをいつ共有するかという設定まで可能なため、データ管理体制を強化することもできます。

3.コンバージョンAPI(CAPI)導入のデメリット

CAPI導入のデメリットは、導入するまでに時間や手間がかかることです。これは、CAPI導入にはさまざまな領域の専門知識が必要だからです。

システムの導入にはエンジニアの知識が必要ですし、顧客情報を取り扱うという面では法務的な知識も必要です。CAPIの仕組みは3rd Party Cookieには依存しませんが、メールアドレスを利用しているため、個人情報の第三者提供には該当する可能性が高いです。そのため、場合によってはプライバシーポリシーの見直しや同意管理ツールの導入などが同時に求められる可能性があります。

>>第三者提供についての解説記事はこちら

さらに、デジタルマーケティングを外部に委託して行っている場合は、その代理店との調整も必要になります。

このように、たくさんの関係者に確認を取りながら進める必要があるため、CAPIの導入には時間がかかってしまうのです。

よって、スムーズにCAPIを導入するためには、早い段階から関係者を巻き込み協力を仰ぐのがおすすめです。また、社内での対応が難しい場合は、思い切って専門家に相談するのが良いでしょう。

4.設定にはサーバーサイドGTMも有効

マーケティングに利用するタグを管理するツールはさまざまありますが、有名なツールとしてGoogle Tag Manager(GTM)があります。2020年8月に、GTMに新たな機能が実装されました。それが、サーバーサイド コンテナ、通称「サーバーサイドGTM」です。

サーバーサイドGTMの登場により、従来はユーザーのブラウザ上で行っていたタグの処理を、ユーザーとは切り離されたサーバー上で行うことができるようになりました。

CAPIは、サーバーサイドGTMを使って実装することも可能です。サーバーサイドGTMについての詳細は以下の記事よりご確認ください。

>>サーバーサイドGTMの概要や、メリット/デメリットについて知りたい方はこちら

まとめ

今回は、Facebook広告のコンバージョンAPIについてご紹介しました。

3rd Party Cookie規制が進む中、Cookieに依存しない効果計測の手法を確立することは急務です。

まだ対応できていない企業は、早急に対応するのが望ましいでしょう

公開日:2023年2月8日