コンバージョンAPI(CAPI)とは?その仕組みとメリット/デメリットについて解説!

データ管理・活用 2024.12.11
コンバージョンAPI(CAPI)とは?その仕組みとメリット/デメリットについて解説!

世界的にプライバシー保護の潮流が高まる中、各所でCookieに依存しないマーケティング手法が開発され始めています。

その中でも、Meta(旧Facebook)社が開発した「コンバージョンAPI(CAPI)」については、耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、コンバージョンAPIの仕組みとメリット/デメリットについてご紹介いたします。

1.Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)とは

1-1.コンバージョンAPI(CAPI)誕生の背景

近年、世界的にプライバシー保護の動きが強まってきています。

プライバシー保護の規制は主に「各地域の法令による規制」と 「ベンダーによる規制」の2つの方向から働いています。

前者において世界的に知られているのは、EUの一般データ保護規則(以降、GDPR)や、アメリカ・カリフォルニア州のカリフォルニア州プライバシー権法(以降、CPRA)です。

GDPRではCookieは個人情報として規制されており、利用する際には本人からの同意取得などが求められます。また、CPRAでも同じく規制されており、情報の販売・共有に関するオプトアウト措置などを講ずる必要があります。

<参考>
日本のプライバシー関連法といえば、2022年4月に改正された個人情報保護法です。個人情報保護法においては、Cookie情報単体では個人情報に該当しません。しかし、新たな概念として創設された「個人関連情報」には該当し、提供先において個人情報と紐付けて利用される場合には、事前に本人から同意取得することが求められるようになりました。

ベンダーによる規制では、すでにApple社やGoogle社がCookie規制を始めており、Safariでは2020年3月に3rd Party Cookieをデフォルトで完全にブロックする仕様になりました。また、Google社が提供するGoogle Chromeでも、2025年から3rd Party Cookieの利用をブロックすると発表されています。

Cookieは、マーケティングの場面でユーザーの行動履歴や趣味嗜好を把握したり、広告の効果(コンバージョン、以降CV)計測をしたりするために活用されています。

そのため、Cookie利用に規制がかかると多くの企業でマーケティング施策に悪影響が出ると考えられ、今後は「Cookieに依存しないマーケティング施策」を確立していく必要があると言われています。

1-2.コンバージョンAPI(CAPI)とは

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このような流れを受け、Meta社が開発したのが、コンバージョンAPI(以降、CAPI)という仕組みです。

これまでのFacebook広告では、「ピクセルタグ」をページに埋め込むことでWebサイトに来訪したユーザーのブラウザ上でCookieを発行し、そのデータを広告媒体に送信してCV計測を行っていました。

※「ピクセルタグ」とは、Webサイトに設置することでFacebook広告の効果計測やターゲティングリストの作成を可能にする、Java Scriptのコードを指します。

しかし、ブラウザが進める3rd Party Cookieの規制により、ユーザーのブラウザ上で発行したCookieを、広告媒体側に送ることが難しくなりつつあります。

そこでMeta社は、ブラウザではなく広告主自身のサーバーで発行したイベントデータを直接Meta社の広告サーバーに送信する仕組みを開発しました。これを、CAPIと言います。

CAPIの活用により、3rd Party Cookieに依存しない広告の計測が可能になりました。

2.コンバージョンAPI(CAPI)導入のメリット

ここからは、CAPI導入のメリットを2つご紹介します。

2-1.3rd Party Cookieに依存しない広告の効果測定手段を確立できる

前述の通り、CAPIは3rd Party Cookieを利用しないため、Cookie規制の影響を受けずに広告の効果測定を行うことができます

広告主側のサーバーから送信されたデータが、最終的にMeta社の広告サーバーに記録されている情報と突合されることでユーザー情報をマッチングし、効果測定を行うという仕組みです。

Cookie規制が進むこれからの時代のマーケティングにおいて、Cookie規制の影響を受けずCVの計測ができるというのは最大のメリットと言えます。

2-2.CV計測の精度が上がる

これまでのピクセルタグによる計測では、オンラインのデータのみが計測対象でしたが、CAPIの導入により、広告主のサーバーに保存されている他のマーケティングデータとの突合も可能になりました。

つまり、オフラインで獲得したデータ(たとえばタクシー広告やテレビCMからの受注履歴など)とも併せて分析を行うことができます。

また、CAPIと従来のピクセルタグを併用して活用することで、データの取りこぼしを減らし、より精度の高い計測ができるようになります。

Mataのビジネスヘルプセンターにも以下のように記述されています。

コンバージョンAPIのデータをMetaピクセルと比べると、ブラウザーの読み込みエラー、接続の問題、広告ブロッカーの影響を受けにくくなっています。コンバージョンAPIをピクセルと組み合わせて使用すると、接続の信頼性が高まり、配信システムによる顧客獲得単価の削減に役立ちます。

引用:Meta ビジネスヘルプセンター「コンバージョンAPIについて」

広告施策の効果をより正確に把握することにより、広告施策全体の最適化を図ることができるでしょう。

2-3.タイムリーにデータ連携ができる

ほかに、CAPIではデータ連携のスピードが上がるという効果もあります。CAPIでは、サーバーから直接Facebook側にデータを送信して分析が行われるからです。

デジタルマーケティングにおいては、スピード感を持ってPDCAサイクルを回すことが重要ですが、CAPIを活用することによって、今までよりも速いスピードで施策の実施・検証ができるかもしれません。

また、CAPIをピクセルとは別に導入した場合、どのデータをいつ共有するかという設定まで可能なため、データ管理体制を強化することもできます

3.コンバージョンAPI(CAPI)導入のデメリット

3-1.導入に時間や手間がかかる

CAPI導入のデメリットは、導入するまでに時間や手間がかかることです。これは、CAPI導入にはさまざまな領域の専門知識が必要だからです。

システムの導入にはエンジニアの知識が必要ですし、顧客情報を取り扱うという面では法務的な知識も必要です。CAPIの仕組みは3rd Party Cookieには依存しませんが、メールアドレスを利用しているため、個人情報の第三者提供には該当する可能性が高いです。そのため、場合によってはプライバシーポリシーの見直しや同意管理ツールの導入などが同時に求められる可能性があります。

>>第三者提供についての解説記事はこちら

さらに、デジタルマーケティングを外部に委託して行っている場合は、その代理店との調整も必要になります。

このように、たくさんの関係者に確認を取りながら進める必要があるため、CAPIの導入には時間がかかってしまうのです。

よって、スムーズにCAPIを導入するためには、早い段階から関係者を巻き込み協力を仰ぐのがおすすめです。また、社内での対応が難しい場合は、思い切って専門家に相談するのが良いでしょう。

3-2.エンジニアによるサポートが必要

新たなマーケティング施策を導入する際、基本的にはマーケティング担当のみで設定を行うことが一般的かと思います。しかし、CAPIの導入には専門的な知識を必要とするため、エンジニアによるサポートが必要になる場合が多いです。エンジニアのリソース確保をする必要があることは、CAPI導入の際のデメリットとも言えるでしょう。

4.コンバージョンAPI(CAPI)の実装(設定)方法

4-2-1.Googleタグマネージャーで実装する

マーケティングに利用するタグ管理ツールはさまざまありますが、有名なツールとしてGoogle Tag Manager(GTM)があります。CAPIの実装には、工数や実装のしやすさの観点からGTMを利用するのがおすすめです。

GTMは、2020年8月に新たな機能が実装されました。それが、サーバーサイド コンテナ、通称「サーバーサイドGTM」です。サーバーサイドGTMの登場により、従来はユーザーのブラウザ上で行っていたタグの処理を、ユーザーとは切り離されたサーバー上で行うことができるようになりました。

サーバーサイドGTMについての詳細は以下の記事よりご確認ください。

>>サーバーサイドGTMの概要や、メリット/デメリットについて知りたい方はこちら

4-2-2.パートナープラットフォームとの統合で実装する

WebサイトやアプリをFacebookのパートナープラットフォームで運営している場合は、手軽にCAPIを設定することができます。パートナープラットフォームには、たとえばShopifyやWordPressなどがあります。

パートナー連携については以下をご参照ください。

>>Metaビジネスヘルプセンター「パートナー連携」

4-2-3.自社で開発する

CAPIの実装方法に、自社で仕組みを開発するという方法もあります。ウェブサイトをパートナープラットフォームで運用していない場合は、自社開発の必要性があります。ただし、メンテナンスも含めかなりの工数がかかることが想定されるため、あまり得策ではないかもしれません。

4-2-4.CAPI対応のツールを利用する

各ベンダーから提供される広告効果測定やデータハブサービスの中には、CAPIに対応しているものもあります。サービスの利用に追加で費用がかかるデメリットはありますが、自社開発ほどの工数はかからないでしょう。

5.コンバージョンAPI(CAPI)の具体的な導入手順

5-1.コンバージョンAPI(CAPI)で送信するデータの検討

まず、CAPIで送信するデータを検討します。CAPIでは、最低限以下3つの情報は必要です。

  • event_name:標準・カスタムイベントの名前
  • event_time:イベントの発生日時
  • user_data:顧客情報

なかでも、「user_data」はfacebookアカウントとの照合に利用されるため多ければ多いほど精度が上がります。

5-2.コンバージョンAPI(CAPI)で送信するイベントの検討

イベントの送信はコンバージョンAPIもしくはFacebookピクセルで行うことができます。それぞれのイベントをどちらの方法で送信するかを検討しましょう。Cookie依存から完全に脱したい場合は4つ目の「すべてのイベントをコンバージョンAPI(CAPI)で実装する」方法を取りましょう。

  • すべてのイベントをFacebookピクセルとコンバージョンAPI(CAPI)で送信する
  • 重要なイベントのみFacebookピクセルとコンバージョンAPI(CAPI)で送信する
  • 重要なイベントはコンバージョンAPI(CAPI)、それ以外はFacebookピクセルで送信する
  • すべてのイベントをコンバージョンAPI(CAPI)で送信する

5-3.コンバージョンAPIの実装方法の検討

前章で述べた通り、コンバージョンAPIの実装方法には大きく4つの方法があります。自社の状況を踏まえ、どの方法で実装を行うのかを吟味しましょう。おすすめはGTMでの実装です。

5-4.法務部に確認を取る

コンバージョンAPIでは、顧客情報などのデータをMeta社のサーバーに送信するため、法務的な確認を取っておくことが重要です。自社のプライバシーポリシーなども踏まえ、どこまでMeta社に共有するのかをしっかりと確認しておくようにしましょう。

5-5.コンバージョンAPI(CAPI)によるデータ送信テストを実施する

実装が完了したら、実際にコンバージョンAPIを使用して送信テストを行います。テスト送信したデータが、Facebookのイベントマネージャーで受信されていれば本番運用を開始することができます。

6.コンバージョンAPI(CAPI)を活用して成功した企業事例

コンバージョンAPIによる数値改善事例は、Meta社の公式サイトで確認することができます。以下に、いくつか事例をピックアップしましたのでご参考にしてください。

まとめ

今回は、Facebook広告のコンバージョンAPIについてご紹介しました。

3rd Party Cookie規制が進む中、Cookieに依存しない効果計測の手法を確立することは急務です。

まだ対応できていない企業は、早急に対応するのが望ましいでしょう

公開日:2023年2月8日

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