データドリブンマーケティングのメリット5選と成功事例
デジタルマーケティング分野において「データドリブンマーケティング」という言葉を耳にする機会が増えました。データドリブンマーケティングは、膨大なデータを活用するビジネス手法で、すでに大企業を中心に導入され結果を残しています。
しかし、比較的新しい手法であることから、自社にどのようなメリットがあるのかわからず、導入に積極的でない企業もまだまだ多いようです。
ここでは、データドリブンマーケティングにはどのようなメリットがあるのか、大手企業の成功事例とあわせて解説します。
データドリブンマーケティングのメリット5選
個人の勘や経験に頼るのではなく、データによる客観的な数値を根拠にビジネス戦略を立案するのが「データドリブンマーケティング」です。各種ITツールの発展によって従来よりも大規模なデータの収集・分析が容易となったことを背景に、ここ数年で注目が増しています。
まずは、データドリブンマーケティングが企業にどのようなメリットをもたらすのか見ていきましょう。
ユーザーエクスペリエンスの向上
データドリブンマーケティングの最大のメリットは、ユーザーエクスペリエンスの向上です。「こういう感じのお客さんはこのあたりの商品が好きなはず」と勘に頼っていた部分を客観的な数値から可視化できます。
例えば、「20代女性かつ、ビジネスパーソンで、過去半年以内にサービスAを申し込んだ方は、商品Bに対する関心も高い」と具体的な傾向まで把握できます。そのため、これまで以上にユーザー一人ひとりのニーズに即した商品やサービスを提案できるようになるでしょう。
マーケティングの費用対効果
データドリブンマーケティングの個人を詳細に分析できるという特性は、マーケティングの費用対効果の向上にも寄与します。「このあたりの属性を持つユーザーに効果がありそう」といった曖昧な判断をなくし、データからもっとも効果が期待できるターゲットや出稿方法を割り出すことで、最低限の費用で最大限の広告効果を目指します。
また、経験や勘によるマーケティングでは自分の想定内の発想しか出てこず、戦略も似たり寄ったりなものになりがちです。しかし、データドリブンは客観的なデータから着想を得るため、時には自分では想像もしなかったユニークな発想が生まれます。それにより、ユーザーに響くビジネス戦略をより柔軟に立案できるようになります。
属人化からの脱却
個人の勘や経験則への依存から、データによる裏付けを根拠にする体制への移行は、それ自体が「知識の属人化」からの脱却という大きなメリットを秘めています。
知識の属人化とは「あの人がいないと仕事が進められない」といったような、特定の人物のみが業務に必要な知識・経験を持っている状況のことです。転職が当たり前の時代となり、自社から人材が流出するリスクが高まるにつれて、この属人化が多くの企業で問題視されるようになっています。
データドリブンは客観的な数値をもとに意思決定をおこなうため、社員間で互いの知識や考えを明確に共有することが可能です。マニュアルのような誰にでもわかりやすい形に落とし込むこともできるようになり、属人化からの脱却に効果を発揮します。結果、企業に以下のようなビジネス上のメリットをもたらします。
- 社員教育が充実し、人材採用に関わるものも含めコストを大幅に下げられる
- 誰が作業しても一定のクオリティを保ちやすくなる
- 特定の人物の退職や転職によるダメージが最小限になる
社内全体の意識改革
「客観的な数値」という明確な根拠を持つデータドリブンは、「本当にこれで良いのか」と悩む時間の少ないスピーディな意思決定を実現できます。そのため、絶えず変化する市場の情勢を反映したフットワークの軽い経営に欠かせないものとなりつつあります。
実際にデータドリブンの効果は、個人や特定の部署のみの取り組みで得られるものではありません。社内全体が「データを共有したい」という想いを一致させることが不可欠です。したがって、データドリブンの導入を進めることは社内全体のITリテラシーの向上につながります。
社内のDX推進
データドリブンの導入は、社内のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進にもそのまま結びつきます。
国内のデータ活用に対する体制構築の遅れから、最大で12兆円(年間)もの経済損失が発生するとした「2025年の崖問題」などを背景に、企業におけるDXの必要性が叫ばれているのは周知の事実です。
DXを実現するのは簡単なことではありません。経営面、技術面、人材面と、各分野で一歩ずつ着実に準備を整えていく必要があります。しかし、データドリブンのためのデータ収集のデジタル化は、DXの実現に向けた重要な一歩としてもその役割を果たします。
データドリブンマーケティングの成功事例
ユーザーニーズの把握やマーケティングの最適化、社内のITリテラシーの向上など、さまざまなメリットを企業にもたらしてくれるデータドリブンマーケティング。ここでは、すでにデータドリブンマーケティングを導入している大手企業の成功事例3つをご紹介します。
JTB
2018年から本格的なデータドリブンに取り組んでいる大手旅行会社JTB。「データサイエンスセントラル」と呼ばれるデータドリブンの中心となる部署を立ち上げ、「量的分析(統計数値による分析)」と「質的分析(旅行に行く理由、モチベーションなど数値以外をメインとした分析)」の2種類の分析を掛け合わせることにより顧客一人ひとりに対するより深い理解を試みました。「出張女子(出張に出ている女性)」ならではの行動パターンや思考を見つけ、最適な宿泊プランを提案してコンバージョン率を45%もアップさせるなど、すでにデータドリブンによる結果を残しています。
ソフトバンクグループ株式会社
ソフトバンクグループでも古くからデータドリブンを活用しています。データドリブンに取り組んだ理由は、電波の繋がりにくさを改善するためです。どのエリアの電波が繋がりにくいのかを客観的な数値から明らかにするために、月間で9億件以上ものパケット通信のログを収集し、時間帯別や地域別における通信状況を分析しました。それにより効率良く基地局を整備することに成功し、2013年には通話接続率・パケット接続率共に携帯キャリア内でNO.1に輝きました。
日清食品株式会社
日清食品では、「アクティブシニア(積極的にSNSを利用する熟年層)」と呼ばれる人々が、健康的な食事よりも豪華な食事の写真などをSNSで共有していることに着目し、「カップヌードル リッチ」と呼ばれる高価格帯のカップヌードルを販売しました。カップヌードルリッチは、狙い通りシニア層を含む幅広い年齢層から好評を得て、発売7ヵ月間で累計1,400万食も販売される大ヒット商品となりました。データドリブンマーケティングによって、「カップヌードルは若者向け」というイメージにとらわれない新たなビジネスチャンスを見出した成功事例です。
データドリブンマーケティングの手順と使用ツール
このように、大手企業を中心にデータドリブンマーケティングはすでに取り入れられており、成果も上がっています。企業がビジネス上の競争力を保つためにはデータドリブンマーケティングの導入が今や不可欠な手法となりつつあります。
データドリブンマーケティングの導入にあたっては、具体的な手順の流れと活用すべきツールを知ることが成否を分けるポイントです。以下の記事も併せてご覧いただきつつ、長期的な展望に立った導入の検討と施策の立案を進めましょう。
>>【PDCA&ツール紹介】データドリブンマーケティングの具体的手順
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