ターゲティング広告がなくなる?ポストクッキー時代に知っておきたいこれからのWeb広告とは
近年、さまざまな媒体で見かけるようになったポストクッキー時代という言葉。それとともに、今まで通りのターゲティング広告がうまく機能しなくなるかもしれない......という情報を耳にしたマーケターの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、マーケターが気になっているであろうポストクッキー時代がターゲティング広告に与える影響や、知っておきたい代替施策を解説します。
1.ターゲティング広告とは
ターゲティング広告とは、ユーザーの過去の閲覧履歴や登録情報などをもとに、属性(性別や年齢など)や興味関心を解析し、そのユーザーに合わせた広告を配信する広告手法です。
そもそもなぜ、ポストクッキー時代においてターゲティング広告がうまく機能しなくなるのでしょうか。まずは、主なターゲティング広告の仕組みをおさらいしていきましょう。
1-1.ターゲティング広告の仕組み
ターゲティング広告にはいくつかの種類があります。ここでは、よく使用される広告手法を4つご紹介します。
・コンテンツターゲティング
ユーザーが訪れているWebサイトやアプリの情報を解析し、その情報にあった広告を表示させる仕組みです。例えば、ホテル予約サイトの沖縄エリアの検索ページの広告枠に、沖縄のレジャー施設や飲食店の広告を表示できます。
コンテンツターゲティングは、ユーザーの属性情報などは使用しません。配信者が手動で配信ページを設定したり、システムが自動でページをクローリング・解析し、カテゴライズします。
・オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングは、「人」にターゲティングをする広告手法です。ユーザーの商品購入やサイト閲覧履歴、性別・年齢などの属性データを指定し、狙ったユーザーへ広告を配信します。一度Webサイトを訪れたユーザーに再度広告を配信する「リターゲティング」も、オーディエンスターゲティングの一種です。
ユーザーのターゲティングには、膨大な情報が含まれる「オーディエンスデータ」が活用されます。オーディエンスデータには、アプリの広告識別子やCookieなどが含まれます。
・位置情報(ジオ)ターゲティング
位置情報ターゲティングは、特定の地域や店舗に滞在しているユーザーに対し広告を表示する手法です。例えば、新宿にしかないお店の広告を、今、新宿にいる人へ配信することができます。
IPアドレスやデバイスのGPS情報、店舗に設置されたビーコンなどの情報が広告配信に活用されています。
・リターゲティング
リターゲティングとは、過去に広告主のWebサイトを訪れたことのあるユーザーに対して、再度広告を表示させる仕組みを指します。一度は興味を持ってくれたユーザーに改めて広告を表示することで、商品を思い出すきっかけになり、コンバージョンにもつながりやすくなります。
この仕組みは、ブラウザに3rd Party Cookieを付与することで成り立っています。
1-2.どうしてターゲティング広告が活用されるのか
ターゲティング広告を活用することで、より親和性の高いユーザーに広告を配信できます。ターゲティング広告は興味・関心を持ってもらえる可能性が高く、コンバージョン(購入・登録など)にもつながりやすいため、この手法への依存度が高い企業も多いのです。
一方ユーザーにとっても、関心のない広告表示が減るといったメリットがあります。
2.ポストクッキー時代がWeb広告に与える影響とは
ポストクッキー時代という言葉が注目を浴びると同時に、多くのマーケターは今後のWeb広告、特にターゲティング広告施策への影響について頭を悩ませているかもしれません。ここでは、ポストクッキー時代がターゲティング広告に与える影響を見ていきましょう。
2-1.そもそもポストクッキー時代とは
近年、AppleやGoogleなどの大手プラットフォームベンダーなどが、自社ブラウザのCookie規制を強化しています。また、ベンダーによる規制だけではなく、世界各国のプライバシー法による規制も進んだ結果、広告のターゲティングの際に活用される3rd Party Cookie(サードパーティークッキー)が、多くのWebブラウザでこれまでと同じように利用できなくなりつつあるのです。
このポストクッキー時代において、多くの企業・団体がCookieを活用しない新たな施策の検討を余儀なくされています。
2-2.ターゲティング広告の活用が難しくなる?
先にご説明した通り、Web広告にはこのCookieを活用して特定のユーザーに対し広告配信をするものがあり、リターゲティング広告が最たる例でしょう。
リターゲティング広告は、コンバージョン獲得における費用対効果がほかの広告手法よりも高い場合が多く、依存度が高い企業も少なくありません。
しかし、Cookie規制が進むポストクッキー時代において、これらの広告手法はより制限されていくと考えられます。
3.ポストクッキー時代のWeb広告はどうするべきか
Cookie規制が進むポストクッキー時代。これからもWeb広告で高い効果を上げていくためには、どのような取り組みを行えばよいのでしょうか。
3-1.Cookie情報を利用しない広告を検討する
ターゲティング広告の中でも、Cookie情報を利用しない手法へ切り替えていくのも一つの手段です。
例えば、先に挙げたコンテンツターゲティングや、来訪したWebサイトの文章・画像をAIで解析し、その文脈に沿ったキーワードでターゲティングをおこなうコンテキスト広告(ターゲティング)も代替手段のひとつとなりうるでしょう。
上記に加え、規制の対象でない1st Party Cookie(ファーストパーティークッキー)を活用した広告配信にも注目が集まっています。特にGoogle社は、かねてより3rd Party Cookieを利用しない広告メニューの開発を進めており、彼らが抱えるYouTubeやGmail、アプリなどの媒体への広告配信を強化しています。(YouTube広告、ファインド広告)
さらに近ごろは、メールアドレスや電話番号など、自社が保有する顧客情報を活用した新しい広告手法である「アドレサブル広告」にも注目が集まっています。アドレサブル広告では、Cookie情報を利用せず自社の個人データを広告媒体が持つ情報とマッチングすることで広告配信を行います。
アドレサブル広告の詳細はこちらの記事をご覧ください。
>>アドレサブル広告とは?メリットや活用事例、個人情報保護法への対応について解説
自社が保有する個人データを利用するため、過去に自社と何らかの接点があるユーザーや、それに近い特徴を持ったユーザーに配信ができ、CVへつながりやすいというメリットがあります。Googleの「カスタマーマッチ広告」もアドレサブル広告の1種です。
カスタマーマッチ広告の詳細はこちらの記事をご覧ください。
>>【図解】Google広告「カスタマーマッチ」とは? 活用方法と注意点を解説!
3-2.Cookie情報を活用するなら「同意取得」を
Cookieの規制が進んでいるとはいえ、全てのCookie情報が利用できなくなるわけではありません。広告配信や解析など、引き続き様々な場面でCookie情報を活用する機会はあるでしょう。
そこで、ポストクッキー時代の広告施策と同じように検討するべきなのが、Cookie情報利用の同意取得です。先に成立したGDPRおよびCCPAや、2022年4月に施行された日本の改正個人情報保護法に則り、Cookie情報を利用する際にはユーザーからの同意取得が必要な場合があります。先に述べたアドレサブル広告を利用する場合も、法対応が求められる可能性が高いです。
同意取得・管理には、CMP(コンセント・マネジメント・プラットフォーム)などの同意管理ツールの導入がおすすめです。
4.まとめ
ポストクッキー時代が到来し、今までと同じような広告手法が困難になるケースが出てきました。とはいえ、大手プラットフォームから新しい広告メニューが提供されたりなど、Cookieに頼らない広告も続々と登場しています。
常に情報をキャッチアップし、ぜひ新しいWeb広告にチャレンジをしてみてください。
公開日:2023年11月28日
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