アドレサブル広告とは?メリットや活用事例、個人情報保護法への対応について解説
近年、GoogleやAppleなどのベンダーによるCookie規制や、改正個人情報保護法の施行などにより、これまで主流だったマーケティング手法が利用できなくなってきています。
その一方で、各社からCookieに依存しない新たなソリューションが次々と発表されており、最新情報へのキャッチアップに苦労しているマーケティング担当の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、それらの中でも近ごろ注目を集めている「アドレサブル広告」という手法について概要や活用のメリット、具体的な活用事例などを解説いたします。
1. アドレサブル広告とは
1-1.アドレサブル広告の概要
「アドレサブル広告」とは、自社が保有している顧客情報を活用してリストを作成し、配信を行う広告手法のことを指します。
「アドレサブル」は、英語「Adress」の形容詞で、直訳すると「アドレスを呼び出す」という意味です。よって、アドレサブルとは「ユーザーを特定できる状態」を表しています。
アドレサブル広告では自社の顧客情報を利用するため、別名「CRM広告配信」とも言われています。
1-2.アドレサブル広告の仕組み
アドレサブル広告は、企業が持つ顧客情報と広告媒体が持つメールアドレスをマッチングさせることで、配信対象リストを作成し、そのリストに基づく広告配信ができるようになっています。
よく似た広告配信の手法として「リターゲティング広告」が挙げられます。こちらはCookie情報をもとにその有効期間内で同じユーザーを追跡して広告配信を行う手法で、アドレサブル広告よりも対象が広いことが特徴です。
1-3.アドレサブル広告が対応している主な広告媒体5つ
アドレザブル広告が対応している主な広告媒体には、以下の5つが挙げられます。
1-3-1.Googleカスタマーマッチ広告
Googleカスタマーマッチ広告では、自社が保有しているGoogleのメールアドレスや登録電話番号、住所などの情報でマッチングしたユーザーに広告を配信できます。
Googleは、GmailやYouTubeなどの大手出稿先を確保しているので、その点で利用するメリットが大きいと言えます。
カスタマーマッチ広告の詳細はこちらの記事をご覧ください。
>>【図解】Google広告「カスタマーマッチ」とは? 活用方法と注意点を解説!
1-3-2.Facebookカスタムオーディエンス広告(Instagramも含む)
Facebook広告ではメールアドレスおよび電話番号を元にユーザーリストが作成できます。リストに広告を配信することに加えて、類似ユーザーに対してアプローチすることも可能です。
Instagramでも同様に、メールアドレス・電話番号を元にユーザーリストを作成できます。
1-3-3.Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)
メールアドレスでYahoo!の顧客情報とマッチングし、広告配信を行うことができます。配信面はYahooのパートナーサイトや、Yahooが提供するサービス上などです。インフィード広告や動画広告なども配信できます。
中高年向けの商材の場合に相性が良いのが特徴です。
1-3-4.LINE広告(LINE Ads)
LINE広告には「オーディエンスを使って配信する」という機能があり、メールアドレスや電話番号などにマッチしたユーザーおよび類似するユーザーに広告を配信できます。
そのほかに友だち登録をしている公式アカウントの情報やアプリ内でのアクション(広告動画視聴、購入など)に基づいた広告配信もできることがLINEの特徴です。
1-3-5.Twitter(現:X)テイラードオーディエンス広告
Twitter広告では、Twitter(現:X)に登録されたユーザー名やメールアドレス、モバイル広告IDでマッチしたユーザーおよびサイト訪問履歴のあるユーザーに広告を配信できます。
SNSという媒体を使うため、高い拡散性を期待できることが特徴です。
1-4.アドレサブル広告の配信手順
アドレサブル広告の具体的な配信手順は以下です。
- 自社の顧客データをリスト化する
- リスト化したデータを広告媒体にアップロードする
- 媒体が暗号化されたデータを受け取り、マッチするユーザーをリスト化する
- リスト化されたユーザーに対して広告を配信
最初の自社の顧客情報をアップロードする、という点で情報流出を心配されるかもしれませんが、媒体にアップロードを行う時点で情報が暗号化されるため、その心配はありません。
しかし、2022年4月に施行された改正個人情報保護法により、顧客データをGoogleなどの第三者が提供するサービス上にアップロードする前に、ユーザーからの同意が求められる可能性があります。詳細は、4章にてご説明します。
2. アドレサブル広告のメリットとデメリット
ここからは、アドレサブル広告を活用するメリットとデメリットについてご説明します。
2-1.アドレサブル広告のメリット
アドレサブル広告を利用するメリットは大きく2点あります。
1点目は、より精度高く効果的な広告配信ができることです。アドレサブル広告では、自社の顧客情報とマッチする顧客に配信を行います。つまり、一度は自社に興味を持って個人情報を登録してくれた顧客にアプローチするため、商材との相性が良くCVにつながりやすい可能性が高いです。
2点目は、Cookie規制の影響を受けにくいことです。これまで主流だったリターゲティング広告は、Cookie規制の影響により今後使えなくなります。しかし、Cookieに依存しないアドレサブル広告であれば、規制に関係なく今後も効果的な広告手法として使い続けることができます。
2-2.アドレサブル広告のデメリット
アドレサブル広告の活用にはデメリットも存在します。大きく2点ありますが、1点目は膨大なデータ整理・分析・更新の手間が必要になることです。
アドレサブル広告は、自社が保有している顧客情報を元にリストを作成しますが、そもそもその顧客情報が整理されていなければ広告配信の精度が下がってしまいます。しっかりと効果を上げるためには、顧客情報の整理、分析、そして定期的に更新し続けることが必要です。
また、アドレサブル広告は、あくまで自社が保有する顧客データの数に依存します。そのため、そもそも自社の顧客情報の母数が少ない場合にはあまりその効果を上げることができません。他の広告手法などと併用するなどしてまずは母数を増やすという方法を取ることも検討してみてください。
3. アドレサブル広告の活用事例
アドレサブル広告の活用事例は、大きく2つあります。
3-1.新規顧客の獲得
1つ目は、新規顧客の獲得手法として活用する方法です。例えば、自社顧客のうち一定額以上の購買履歴のある優良顧客のみを抽出・分析し、そのリストを元に類似ユーザーに広告配信を行えば、未来の優良顧客となり得るユーザーの獲得に役立ちます。
また、優良顧客でなくても、一度は自社の商材に興味を持ってくれた顧客に似たユーザーを対象とすれば、自社の商材に興味を持ってくれる可能性は十分に高いです。
3-2.既存顧客の掘り起こし
2つ目は、既存顧客の掘り起こしに活用する方法です。
アドレサブル広告では、優良顧客のみにキャンペーンや新商品の広告を見せたり、過去の購買履歴から興味度の高い顧客に絞って広告を配信することが可能です。
また、開封が必要となるDMやメルマガに比べて、広告は必然的にユーザーの目に入る可能性が高いため、長い間自社のDMなどを開封していない休眠顧客へのキャンペーンを打つ場合にも、非常に有効な手段です。
4. アドレサブル広告の活用の際は"個人情報の取り扱い"に注意
先にも触れましたが、アドレサブル広告では2022年4月に施行された改正個人情報保護法への対応が求められます。
アドレサブル広告は、メールアドレスなどの自社の顧客情報と広告媒体が持つデータを突合して利用しますが、これは「個人データの第三者提供」に該当するからです。改正個人情報保護法では、このような場合にユーザーからの事前同意の取得が必要と定められています。
アドレサブル広告を活用するためには、CMP(同意管理プラットフォーム)の導入など法律への対応を行った上で、検討するようにしましょう。
アドレサブル広告を活用するために必要な法対応の詳細はこちらの記事をご覧ください。
>>【要対応】カスタマーマッチの利用は"個人データの第三者提供"!個人情報保護法上必要な対応を解説
公開日:2023年11月7日
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