【最新版】3rd Party Cookie規制の影響と対策!各種規制の現状から対策まで詳しく解説

3rd partyデータデータ管理・活用 2020.12.28
【最新版】3rd Party Cookie規制の影響と対策!各種規制の現状から対策まで詳しく解説

インターネット上における効果測定や広告の最適化に使われてきた3rd Party Cookieが、近い将来、規制・廃止されることをご存知でしょうか。

Google社は「2025年から3rd Party Cookieを段階的に廃止する」と公表しており、Apple社はすでに自社ブラウザで3rd Party Cookieを完全にブロックしています。

これにより、インターネットを活用してビジネスに取り組んでいる事業者は、どのような影響を受けるのでしょうか? ここでは、3rd Party Cookieの規制がもたらす影響と、今後の動向についてご説明します。

1. Cookie(クッキー)とは?

Cookieとは、Webサイトに訪問したインターネットユーザーの情報を一時的に保存する技術、もしくは保存した情報そのものを指します。Cookieには大きく2種類が存在します。

1-1 1st Party Cookie(ファーストパーティークッキー)

1st Party Cookieは、ユーザーが訪れたWebサイトが直接発行するCookieのことを指します。
ログイン情報やショッピングカート内の情報など、ユーザーの情報を保持し、次回以降の入力を省略するような役割で活用されていることが多いです。

1-2 3rd Party Cookie(サードパーティークッキー)

3rd Party Cookieは、ユーザーが訪問したサイト以外が発行するCookieのことを指します。
発行されたCookie情報をもとに、主に広告配信を行う目的で活用されます。近年、規制の動きが強まっているのはこの3rd Party Cookieの方です。

2. 3rd Party Cookieは各種法令・ベンダーにより規制・廃止の流れへ

これまで、インターネット広告の配信を最適化するために活用されてきた3rd Party Cookie。規制・廃止の流れに向かいつつあるのはなぜなのでしょうか。

2-1 Cookieはなぜ規制されるのか

Cookieは、収集した情報を活かしてインターネットユーザーにも企業にも良い効果をもたらす反面、インターネットユーザーの行動を追跡・監視するといったプライバシー面の課題を抱えていました。
そのため、プライバシー保護の名目でCookieの規制が進められているのです。

すでに海外では、法律によってCookieの取り扱いに厳しい規制を設けている地域もあり、Google社やApple社などのベンダー側からもCookie規制・廃止の動きがあります。今後は世界レベルでCookie規制が標準となるでしょう。

2-2 ベンダーによるCookie規制の現状

Apple社のSafariにおけるITP規制

Apple社のiPhoneやMacなどの機器に標準搭載されているWebブラウザ「Safari」は、ITPと呼ばれる技術によって3rd Party Cookieを完全にブロックする仕様となりました。これにより、従来通りの広告配信が難しくなっています。

また、2023年4月のSafari16.4アップデートでさらに規制対象が広がり、Web広告を配信する企業には大きなダメージとなっています。

Google社のGoogle ChromeにおけるCookie規制

Google社が提供している世界トップシェアのWebブラウザ「Google Chrome」は、もともと2024年後半には3rd Party Cookieを完全に廃止すると発表していましたが、2024年4月23日に再度延期の発表がされました。

これにより、3rd Party Cookieの廃止は2025年初期からに変更になりました。

We remain committed to engaging closely with the CMA and ICO and we hope to conclude that process this year. Assuming we can reach an agreement, we envision proceeding with third-party cookie deprecation starting early next year.
引用元:「Update on the plan for phase-out of third-party cookies on Chrome

このほか「Edge」を提供するMicrosoft社や、「Firefox」を提供するMozilla Foundation社など、シェアの多いWebブラウザの提供元もそれぞれCookie規制の流れを進めています。
こうした流れから、近い将来3rd Party Cookieは完全に廃止されることになると考えられます。

なお、WebブラウザにおけるCookie規制の流れを作ったITPについての情報は、以下記事で解説しています。あわせてご参照ください。

>>ITPでWeb広告はどう変わる?Cookie規制による影響とは
>>【最新】Cookie規制に向けて我々がすべきことは?今知るべきポイントを専門家が解説

2-3 法律・法令による規制の現状

Cookie規制は、法律・法令面でも規制が強化されています。

EU圏のプライバシー法「EU一般データ保護規則(GDPR)」

EU圏では、2018年に5月に「EU一般データ保護規則(GDPR、以降GDPR)」が施行されました。
同法は世界で最も厳しいプライバシー法とも言われるほど、プライバシーの取り扱いについて厳格に定められています。GDPRにおいては、CookieやIPアドレス等のオンライン識別子自体も個人データに該当します。
日本国内のユーザーのデータと同じように取り扱っているとうっかり法令違反になりかねませんので、注意が必要です。

GDPRについては以下の記事をご参照ください。

>>GDPRについて、詳しくはこちら

カリフォルニア州の法律「カリフォルニア州消費者プライバシー法(CPRA、旧CCPA)」

アメリカのカリフォルニア州では、2020年1月に「カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)」が施行されました。その後、CCPAの改正法案である「カリフォルニア州消費者プライバシー法(CPRA)」が2020年11月に可決されました。改正内容の多くは2023年1月から有効になっており、現在に至ります。
CPRAも、GDPRと同様にCookieやIPアドレスなどのオンライン識別子が個人データに該当します。

CPRAについては以下の記事をご参照ください。

>>CPRAについて、詳しくはこちら

日本でも2022年4月に改正個人情報保護法が施行

日本でも、2022年4月に施行された改正個人情報保護法、および2023年6月に施行された改正電気通信事業法により、Cookieなど一部データの活用方法によっては、法規制の対象とされることになりました。

改正個人情報保護法や、電気通信事業法の規制内容についての詳細は以下の記事をご参照ください。

>>【改正前後の条文比較】2022年4月施行!改正個人情報保護法(2020年6月可決・成立)が企業に与える影響は?
>>【2023年6月16日施行】新たなCookie規制、改正電気通信事業法(外部送信規律)についてわかりやすく解説!

3. 3rd Party Cookie規制により生じる企業にとっての弊害・影響とは

Cookie規制の進行により3rd Party Cookieが廃止されることで、事業者が運営するメディアの収益は大幅に低下すると予想されています。Googleのレポートによれば、3rd Party Cookieの無効化によってメディアの収益は50%以上失われる可能性があるとのことです。

これまでのインターネット広告は、広告運用の効果を3rd Party Cookieを通じて獲得したユーザーのデータに頼っていました。3rd Party Cookieの活用によってポジティブな反応が期待できるユーザーに広告を出稿し、自社サイトへ効率的に見込み客を誘導していたのです。

しかし、3rd Party Cookieが廃止されれば効率的な広告配信は難しくなり、従来のコストで同等の広告効果を得ることは困難となります。そのため、インターネット広告を使って集客・商品販売を行っている企業にとってCookie規制による弊害は非常に大きなものになると予想されます。

4. 企業に求められる3rd Party Cookie規制への対策

様々な方面からCookie規制が進んでおり、企業はこのような状況への対策を求められています。ここからは具体的な対策についてご紹介します。

4-1  1st Party Dataの収集強化・活用

まず、Cookie規制への対策として第一に考えられるのが1st Party Dataの収集強化・活用です。1st Party Dataとは、自社が収集したデータのことを指します。

Cookie規制がどれだけ進んでも、自社が保有しているデータは継続して利用することができるためこれまで以上に1st Party Dataの収集・活用に力を入れることが重要です。オウンドメディアのコンテンツを強化するなど、1st Party Dataの取得に繋がるようなユーザーとの接触ポイントの施策に力を入れるのもおすすめです。

4-2 3rd Party Cookieの代替技術への移行

3rd Party Cookie規制への対策として、3rd Party Cookieの代替技術へ移行するという方法もあります。

共通IDソリューション

共通IDソリューションとは、異なるサイトやサービスの間で共通のIDを作成することで、3rd Party Cookieのように活用できるIDソリューションのことを指します。
共通IDソリューションは、3rd Party Cookieの代替技術の代表的なものです。

プライバシーサンドボックスの「Topics API」(コホート・コーホート)

Googleは、2019年ごろからプライバシー保護と効果的な広告配信を両立できる新技術として「プライバシーサンドボックス」の開発を進めています。そのなかの技術の一つが「Topics API」です。

Topics APIは、ユーザーのサイト閲覧情報に基づいて関心のあるトピック名を、第三者を介さずにユーザーのデバイスに保存する仕組みです。
トピックの数は数百にもなり、保存されたトピックをもとに広告配信などへの活用が考えられます。ユーザーの属性に基づいてグループを作成して活用するため、コホートの考えにも通じています。

4-3 3rd Party Cookieに依存しない広告手法の導入

広告配信の側面においては、3rd Party Cookieに依存しない広告手法の導入が有効です。

アドレサブル広告

アドレサブル広告とは、自社が保有する顧客情報を活用してリストを作成し、そのリストに対して広告配信を行う手法のことです。
アドレサブル広告を効果的にするためには1st Party Dataの量や質が重要にはなりますが、3rd Party Cookieには依存しない広告手法のため注目が集まっています。

アドレサブル広告については以下の記事をご参照ください。

>>アドレサブル広告について、詳しくはこちら

コンテキスチュアル広告

コンテキスチュアル広告も3rd Party Cookieに依存しない広告手法の一つです。
コンテキスチュアル広告では、ユーザーが見ているWebページのキーワード・文章・画像などを解析し、その内容に合わせた広告を配信します。
ユーザーが閲覧するページのコンテキスト(文脈)をもとにした広告のため、コンテキスチュアル広告と呼ばれています。

5. まとめ

Cookie規制の流れはもはや止まることはないでしょう。
特に、サイトをまたいでインターネットユーザーの個人的なデータをやり取りする3rd Party Cookieの活用には、さらに厳しい制約が課せられていくものと考えられます。

3rd Party Cookieを活用する企業は、代替案の登場をいち早くキャッチできるようWeb業界の動向に注目し、ビジネスの継続への影響を最小限に届ける努力が必要となります。

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