ITPでWeb広告はどう変わる?Cookie規制による影響とは

ITPデータ管理・活用 2020.06.29
ITPでWeb広告はどう変わる?Cookie規制による影響とは

Cookieの働きを制限する「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」をご存知でしょうか?

ITPをはじめとするCookie規制の流れにより、今後Web広告の領域は大きく変化を求められることとなりました。

ここでは、ITPによってWeb広告がどのように変わるのか、またCookie規制が行われた先の未来について解説します。

1. ITPとは

ITP(Intelligent Tracking Prevention)は、Web上におけるユーザーのアクションを追跡・分析するトラッキングを制限する機能です。iPhoneやMacの販売元として知られるApple社が自社のブラウザである「Safari」に実装していることで知られています。

ITPは複数回のアップグレードを経てCookieの規制を強めており、主にWeb広告に対して大きな影響を与えてきました。

2. ITPによって広告にどのような影響があるの?

株式会社ウェブレッジの調査により明らかとなったSafariの利用率は、スマートフォンブラウザにおいて6割超。Cookieを利用する広告提供者にとって、決して無視できない状況にあることが読み取れます。

では具体的に、どのタイプのCookieを利用した際にどのような影響を受けるのかを説明します。

3rd Party Cookieの規制による弊害

2020年6月現在、ITPはすべてのCookieを制限しているわけではなく、Cookieのうち「3rd Party Cookie」と呼ばれるものを対象に効果を発揮しています。3rd Party Cookieとは、発行元が「ユーザーが訪問したサイト以外」であるCookieを指します。

・1st Party Cookie:ユーザーが訪問したサイトが発行しているCookie

・3rd Party Cookie:ユーザーが訪問したサイト以外が発行しているCookie

これにより、広告目的に利用される3rd Party Cookieが従来通りの機能を果たせず、広告のCV(コンバージョン=成約)数が測定不能となったり、ユーザー行動の把握における精度が低下したりといった問題を招いています。

3rd Party Cookieは外部の第三者によって発行されたCookieであり、複数サイトをまたいでユーザー行動を管理できる特性を持つことから、ユーザー行動にもとづいて広告配信をするための手段として活用されています。ITPによる3rd Party Cookie制限の流れは、3rd Party Cookieが個人にまつわる行動データを多分に含んでいることから、プライバシーの観点上、扱いに規制をかけるべきだという考え方によるものです。

Cookieに関する詳細な情報は、以下の記事で解説しています。あわせてご参照ください。

>>Cookie(クッキー)の意味とは?マーケティング担当者の必要知識を解説

その他のブラウザもCookieを制限する流れ

世界的に高シェアを誇るブラウザ「Google Chrome」を提供するGoogle社は2020年1月、今後2年のうちに3rd Party Cookieのサポートを打ち切ると公表しました。またMozilla Foundation社が開発するブラウザ「Firefox」にも、トラッキングにまつわる複数の要素をブロックする強化型トラッキング防止と呼ばれる機能が備えられています。

Safariだけでなく、Google ChromeやFirefoxといった有名なブラウザが軒並みCookieを制限していることから、こうした流れは世界で利用されるほぼすべてのブラウザに適用されるものと考えられています。

3. 予想されるWeb広告の未来

2019年12月に公表された日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の調査結果では、インターネットユーザーの約8割が個人データの活用に不安を感じていると回答しました。広告の必要性に対する理解はあるものの、Web広告はユーザーから十分な信頼を獲得できていない様子が読み取れます。ユーザーがWeb広告に対して少なからず不信感や嫌悪感を抱いている現状を考慮すれば、今後Web広告は以下のようなポイントをクリアしたものに変革されなければいけないでしょう。

・データの利活用における透明性が担保されている

・データ提供に対してユーザーに明確なメリットがある

・広告を受け取るユーザーにも選択肢が用意されている

つまり、ユーザーの信頼獲得を重視したWeb広告が今まで以上に求められる世界になるということです。また広告掲載を行うプラットフォームの運営者には、広告主を優遇する姿勢を正し、掲載広告そのものの審査も厳しく行うことが求められそうです。

データの利活用にまつわる説明の開示と、ユーザー側に対するメリットおよび選択肢の明示の標準化。これが、あるべきWeb広告の未来だといえるでしょう。

4. Cookieに代わる技術の開発が進んでいる

ユーザーの意識を察知し広告ビジネスを展開するGoogle社をはじめ、多くの企業が「プライバシーに抵触せずに3rd Party Cookieに取って代わることができる技術」の開発に乗り出しています。その一つが、Google社のプライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)です。

プライバシーサンドボックスについてはいまだ具体的な情報は明かされていませんが、ブラウザのユーザー情報を保護しつつ広告目的に利用できるような、まさに3rd Party Cookieの代替となる技術のようです。

Web広告に関わるビジネスパーソンであれば、Cookieにまつわるこうした技術の開発動向は、今後も細かくキャッチアップしておくべきでしょう。

5. まとめ

ITPをはじめとするCookie規制の流れは、極めてユーザー視点に寄った取り組みだといえます。そのため、今後は多くのユーザーがCookie規制に賛同し、個人データの扱いを開示しない組織に対して不信感を強めていくことが予想されます。

今後、データを扱う側には、規制の抜け道を探すのではなく、より一層ユーザーと向き合う姿勢が求められることになるでしょう。シェアの高いブラウザが次々とCookie規制を強化する中、その対策の必要性は待ったなしのところまできているのです。

個人データ保護の根底にある「個人情報にまつわる認識や法律の変革」は以下の記事で解説しているので、あわせてご参照ください。

>>個人情報にまつわる法律と動向を解説!海外・日本の違いとは?

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