パーソナライズド広告とは?メリット・デメリットと利用時の注意点を解説!
近年、インターネットが普及しDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む一方、世の中は多量の情報で溢れかえっています。
そんな中、より適したユーザーに対して的確な情報を届けることができるマーケティング手法「パーソナライズド広告」に注目が集まっています。
本記事では、パーソナライズド広告の概要やメリット・デメリット、利用時の注意点についてご紹介します。
1. パーソナライズド広告とは
1-1. パーソナライズド広告の仕組み
「パーソナライズ」とは、個人の興味関心や行動履歴・属性等に基づいて、提供する情報やサービスの最適化を図ることを指します。
つまり「パーソナライズド広告」とは、個人の興味関心や行動履歴等に沿って配信される広告のことです。
例えばGoogleでは、パーソナライズド広告を以下のように定義しており、パーソナライズされていない広告を「ユーザーの過去の行動に基づいていない広告」と定義しています。
Google では、ユーザーの過去の検索語句、アクティビティ、サイトやアプリへのアクセス、ユーザー属性情報、地域など、以前に収集したデータ(過去のデータ)に基づいて決定された(またはそのようなデータから影響を受けた)広告をパーソナライズド広告と定義しています。 引用:Google「パーソナライズド広告とパーソナライズされていない広告」
なお、Google広告においては、以下の手法がパーソナライズド広告に該当します。
- 年齢や性別によるターゲティング
- インタレストカテゴリターゲティング
- リマーケティング
- カスタマーマッチのリストによるターゲティング(Googleカスタマーマッチ)
- ディスプレイ&ビデオ 360やキャンペーン マネージャー360でアップロードされたユーザーリストによるターゲティング
1-2. パーソナライズド広告の手法「Googleカスタマーマッチ」とは
先述の通り、パーソナライズド広告の手法の一つに「Googleカスタマーマッチ」という仕組みがあります。
Googleカスタマーマッチとは、自社が保有する個人データとGoogleが保有する個人データを突合し、広告配信を行う手法のことです。
この手法を活用することで、既存顧客を避けての広告配信や、類似する潜在顧客へのアプローチが可能になります。
X(旧Twiter)の「テイラードオーディエンス」やMetaの「カスタムオーディエンス」など、Google以外の企業からも、類似する手法が数多く提供されています。
カスタマーマッチについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
>>【図解】Google広告「カスタマーマッチ」とは? 活用方法と注意点を解説!
2. パーソナライズド広告が利用できる配信プラットフォーム
2-1. X(旧Twitter)
世界中で利用されているSNS「X(旧Twitter)」では、さまざまな広告メニューがあります。いくつかの例をご紹介しましょう。
- プロモ広告:幅広いユーザー層に通常のツイート形式の広告を表示させる広告
- フォロワー獲得広告:現在はフォローされていないが、興味を持ちそうなユーザー(アカウント)に広告主のアカウントをおすすめする広告
- 広告用ツイート:広告主がターゲティングしたユーザー層に対し、通常のツイート形式の広告を表示させる機能
Twitterのパーソナライズド広告は以下のようなユーザー情報を利用しています。
- ツイート内容
- クリックしたサイトURL
- フォローしているアカウント
- アクセスした地域 など
また、テイラードオーディエンスという手法を使用すれば、自社が保有する個人データ(メールアドレス)をアップロードし、ターゲティングに活用することもできます。
2-2. Amazon
Amazonといえばショッピングモールのイメージがあるかと思いますが、月に5,000万人以上のユーザーを抱える広告プラットフォームでもあります。
Amazonの広告には以下のようなものがあります。
- スポンサープロダクト広告:Amazon内に出品している個々の商品を、商品検索結果ページや商品詳細ページに表示させる広告
- スポンサーディスプレイ広告 ブランドと商品ポートフォリオを紹介:ブランドロゴ、カスタム見出し、一部の商品が掲載されて商品検索結果に表示させる広告
- スポンサーブランド広告:Amazon内外の購入者に表示させる広告
Amazonのパーソナライズド広告は以下のようなユーザー情報を利用し、商品をおすすめしています。
- 購買履歴
- 検索履歴
- Amazonツールの利用状況
- Amazonのコンテンツや広告が含まれているサイトの閲覧履歴
- アクセスした地域 など
2-3. Google
GoogleはGoogleの検索画面のほか、GDN(Googleディスプレイネットワーク)を利用することで、以下のような場所に広告を配信することができます。
- Googleと提携するWebサイト
- YouTube
- Gmail
- アプリ など
Googleのパーソナライズド広告では、以下のような情報が利用されています。
- Googleアカウント情報
- Chromeブラウザでの検索内容
- サイトの閲覧履歴
- YouTubeにおける視聴データ
- Googleが提供しているマップなどのアプリの利用状況の情報 など
3. パーソナライズド広告のメリットとプライバシー保護における課題
3-1. パーソナライズド広告のメリット
ユーザーにとってのパーソナライズド広告のメリットは、自分の興味関心に沿った内容の広告が配信されるため、広告を通して新しい製品やサービスについて知る機会になることです。場合によっては、自分では認知していなかった潜在ニーズに気づく可能性もあります。
実際に消費者庁が実施した調査によれば、消費者はネットで商品を購入する際に上位表示されるものやプラットフォームからのおすすめ商品を、「参考にしている」「どちらかというと参考にしている」という人が50%近くいることがわかっています。
引用:消費者庁「デジタル・プラットフォーム利用者の意識・行動調査」
また、過去に検索・閲覧していたものに関連する広告が表示されるため、広告を見ることで「そういえば」と思い出すきっかけになることもあります。
一方、広告主にとってのメリットは、適切に潜在顧客にリーチでき、認知を広げられることが挙げられます。
また、行動履歴等に基づいて自社商品のジャンルや解決できるテーマに興味があると見込まれる人にアプローチするため、広告配信の費用対効果(ROAS)を最適化することができます。
3-2. パーソナライズド広告のデメリット
パーソナライズド広告を利用することは、メリットだけではありません。
ユーザーにとってのデメリットは、自身のニーズの変化に広告が対応してくれない場合があることです。
例えば、東京へ旅行に行く場合、泊まる場所や観光スポットなどを事前にネットで調べたり、場合によっては旅行に必要なものを購入したりしますよね。この時、検索履歴や購入履歴が記録されていると、その情報を元に広告が配信されるため、たとえ東京旅行が終わったり、中止になったりしても、しばらくの間は関連する広告が配信され続ける可能性があります。
また、広告主にとってのデメリットは、特定のジャンルに興味のある層は限られているので、多用しすぎると広告の配信数が減少し新規顧客の獲得が難しくなることです。認知拡大や新規顧客の獲得においては他のマーケティング手法と併用するのがおすすめです。
また、ユーザーにとってのデメリットとも関連しますが、パーソナライズド広告は変化し続けるユーザーのニーズには対応しづらいです。一度自社ブランドに対して嫌悪感を持たれてしまうと、それ以降の購買活動の妨げにもなりかねないので、配信の頻度を調節するなどして慎重に実施することが求められます。
3-3 プライバシー面での課題と求められる対応
パーソナライズド広告は、ユーザー個人の興味関心や行動履歴・属性等に基づいて配信できるため効果的なマーケティング手法と言えます。
しかし、GoogleのカスタマーマッチやXのテイラードオーディエンスなど、利用する広告の仕組みによっては、自社が保有する顧客のメールアドレスなどを使用する場合があり、個人情報の取り扱いには注意が必要です。
特にカスタマーマッチの利用は、「個人データの第三者提供」に該当し、2021年9月に個人情報保護委員会(PPC)により公開された個人情報保護法のQ&Aにおいて、明確に本人の同意取得等が必要と示されています。
場合によっては、プライバシーポリシーの見直しやCMP(同意管理プラットフォーム)の導入などの対策が求められるため、カスタマーマッチを利用している・検討している企業は早急に対策をするようにしましょう。
カスタマーマッチについて個人情報保護対策がまだの方はこちらをご覧ください。
>>【要対応】カスタマーマッチの利用は"個人データの第三者提供"!個人情報保護法上必要な対応を解説
まとめ
本記事では、パーソナライズド広告の概要やメリット・デメリットについてご紹介しました。
パーソナライズド広告は、自社の個人データを利用して効果的にマーケティングを行う手法ではありますが、個人情報の取り扱いには十分な注意が必要です。
自社のみでの判断が難しい場合は、弊社コンサルティングサービスのご活用もご検討ください。
公開日:2023年3月1日