ITPはアフィリエイトにどう影響する?2020年以降の市場を解説

ITPデータ管理・活用 2020.08.28
ITPはアフィリエイトにどう影響する?2020年以降の市場を解説

Apple社のブラウザに実装されたITP(Intelligent Tracking Prevention)の存在により、いまアフィリエイト広告は向かい風にさらされています。なぜなら、ITPが有する機能は、アフィリエイト広告を成立させるために必要となるトラッキング機能を強く制限し、ネットユーザーの追跡・分析を困難にしているからです。

ここでは、アフィリエイトにネガティブな影響を与えているITPと、2020年以降にアフィリエイト市場がどう変化していくのかについて解説します。

1. アフィリエイトの仕組みをおさらい

アフィリエイトは、インターネット上における「成果報酬型の広告」を指して使われる用語です。アフィリエイト広告は、事業者が自社の商品・サービスを販売する際の広告手段として利用されています。

アフィリエイトの仕組みは、以下の利害関係者が相互に関係することで成り立っています。

  • 広告主となる事業者
  • ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)
  • メディア運営者
  • ネットユーザー

まず、アフィリエイトを通じて商品やサービスを販売したい広告主が、広告主とメディアの仲介役を担っているASPに広告出稿を依頼します。

メディア運営者は、ASPを通じて自身のメディアに掲載する広告を選定し、メディアでの発信を通じてネットユーザーへ広告を配信。ネットユーザーがメディアに掲載されている広告をクリックし、成約に至ればASPからメディア運営者に成果報酬が支払われる仕組みです。

2. 2020年のアフィリエイト市場はどうなっている?

2020年に公開された株式会社矢野経済研究所の調査によると、2019年まで右肩上がりに拡大してきた国内のアフィリエイト市場は、2020年以降も引き続き拡大していく可能性が高くなっています。

「アフィリエイト市場に関する調査を実施(2019年)」 出典:株式会社矢野経済研究所「アフィリエイト市場に関する調査を実施(2019年)」

上記は広告出稿を依頼する事業者を始め、ASPやメディア運営者にとっても追い風となる調査結果であるものの、その一方でアフィリエイトの存在を脅かす技術も登場しています。それが、iPhoneやMacの標準ブラウザであるSafariに実装された「ITP」と呼ばれる技術です。

3. アフィリエイトに影響を与えるITPの機能とは

ITPは、Apple社のブラウザであるSafariに実装されているトラッキング防止の技術です。大きく3つの機能を持っています。

  • 特定の条件下において1st Party Cookieを無効化・削除
  • 3rd Party Cookieをすべてブロック
  • 特定の条件下においてストレージデータを削除

このうち、1st Party CookieはユーザーID・パスワードなどの情報保持に活用されており、3rd Party Cookieは広告配信の最適化に使われています。

2020年7月現在、ITPは「Full Third-Party Cookie Blocking and More」と呼ばれるバージョンになっており、JavaScriptによって生成された特定の1st Party Cookieは24時間で削除されます。3rd Party Cookieにいたっては条件を問わずすべてブロックされることとなっており、Webページのデータ保持を担うストレージデータも特定の条件下において削除される仕様となりました。

4. ITPはアフィリエイトにどう影響するの?

先ほど説明した3つの機能のうち、3rd Party Cookieを全てブロックする機能が、アフィリエイトに深刻な影響をもたらします。なぜなら、アフィリエイト広告のほとんどは、3rd Party Cookieを利用してインターネットユーザーの行動を追跡しているからです。

そのため、ITPにより3rd Party Cookieの働きが制限されると、アフィリエイト広告を通じてネットユーザーが商品・サービスを購入した際の測定が難しくなり、正しいCV(コンバージョン=成約)数が把握できなくなってしまうのです。

現状、ASPは最新のITPに対応できるトラッキング用のタグを用意するなど、ITPの規制内容に抵触しない形で対策を取っているものの、そもそもITPのCookie制限はネットユーザーのプライバシー保護を目的としています。対策そのものがITPの設計思想においてプライバシーを害するものである限り、ASPの対策に対して新たな対抗策が講じられる可能性は十分にあるでしょう。

また、Safariに限らず多くのブラウザがプライバシー強化を徹底しており、現行のブラウザで最もメジャーといっても良いGoogle Chromeも3rd Party Cookieのサポートを打ち切ると公表しました。アフィリエイト広告を利用する事業者、およびメディア運営者は、今後の展開を注視し、より良い選択肢の登場をいち早く察知する意識が求められるといえます。

5. まとめ

ここまで、ITPがアフィリエイトに与える影響は今後の市場の予測について解説してきました。

アフィリエイト市場は2020年以降も成長することが予想されている一方、ITPはバージョンアップを重ねて制限を強くしていくことが予測されるため、Web業界では売上の減少や事業そのものへの悪影響を心配する声が飛び交っています。広告は企業の利益に直結する部分であり、最新動向を見落とせば多大な機会損失の原因にもなりかねませんので、市場の動きを今後もしっかりと注視する必要があるでしょう。

なお、ITPがWeb業界にもたらす影響は以下の記事でも解説しています。アフィリエイトに関わらず、Webを通じて事業展開を行う全ての企業に関係する問題であるため、あわせてご参照ください。

>>ITPとは?Web広告に与える影響と対策方法