データマッピングとは?プライバシー保護のための基本と手順

データ管理・活用 2025.08.12
データマッピングとは?プライバシー保護のための基本と手順

近年は世界的にプライバシー保護の潮流が高まり、企業に対して適切なデータ管理が求められるようになりました。特に、GDPRやCCPAなどプライバシー関連法により、個人データの取り扱いはかなり厳しくなっています。

こうした規制に対応するためには、データの流れや関係を適切に把握・管理する必要があります。そこで役立つのが「データマッピング」です。本記事では、データマッピングの定義や重要性、具体的な実施手順などをご紹介します。

1.データマッピングの基本

1-1.データマッピングとは?定義と活用方法

データマッピング(Data Mapping)とは、ソースやフォーマットが異なるデータを集約し、データの流れや関係を可視化するプロセスを指します。

各社で急速にDXが進む中、企業が管理するデータ量は日に日に増加しています。中には、十分な管理体制を整えられないまま、データ量だけが増え続けてしまっている企業も多いのではないでしょうか。そのような場合に役立つのがデータマッピングです。データマッピングにより、組織内のデータ管理を一元化し、適切に管理することができます。

また、近年は世界的にプライバシー保護の潮流が高まり、各国で様々なプライバシー関連法が施行されています。それらのプライバシー法規制に適切に対応するためには、データマッピングで社内のデータ管理手法の全体感を把握することが重要です。

1-2. データマッピングの重要性・メリット

データマッピングが重要とされる理由には以下の3つが挙げられます。

1-2-1. データ品質が向上する

データマッピングを行うことで、データに一貫性を持たせ、構造化することができます。マッピングの過程で不要なデータは削除するため、本当に必要な情報のみが残される状態になります。そうすることで、結果的に保有しているデータの品質が向上します。データ品質が向上すれば、それらのデータを活用した分析精度の向上も期待できます。

1-2-2. データの管理コストを最小限にできる

データマッピングでデータ整理をすることで、管理すべきデータや管理方法が明確になり、管理にかかるコストも最小化することができます。また、構造化されることにより、必要とするデータを探し出すことも容易になるでしょう。

1-2-3. セキュリティ・プライバシー対策に繋がる

データマッピングでは、データの流れや関係性を可視化します。よって、データマッピングを実施することで、 改めて自社のデータ管理方法を見直すことができ、セキュリティ上のリスクにも気づきやすくなると考えられます。

また、近年続々と施行・改正が行われている各国プライバシー法では、さまざまなデータ保護基準が設けられています。それらにスムーズかつ適切に対応するためにも、データマッピングで自社データの取得・管理方法を把握しておくことは非常に重要です。

2.データマッピングに関わるプライバシー法の基礎知識

2-1.世界各国のプライバシー法概観

近年、急速なインターネット社会の発展によりデータの利活用が進む一方で、ユーザーのプライバシーを保護する動きも高まっています。

例えば、2018年5月にはヨーロッパでGDPR(EU一般データ保護規則)が施行され、同規則は世界的に最も厳しいプライバシー関連法とも言われています。また、カリフォルニア州では2020年1月にCCPA(カルフォルニア州消費者プライバシー法)、日本では2022年4月に改正個人情報保護法が施行されました。

これらのプライバシー関連法の施行・改正も影響し、世界的に個人データの適切な取り扱いが求められるようになっています。

2-2.データ保護法の主な要件と企業への影響

海外法令が適用されるかどうかは、海外拠点の有無、事業内容によって異なりますが、日本に拠点を置く全ての個人情報取扱事業者に適用される個人情報保護法では、たとえば以下のケースへの対応が不十分な企業が目立ちます。

  • 個人データの第三者提供を行う場合の、本人からの同意取得
  • 個人関連情報規制への対応
  • 外国にある第三者に個人データを提供する場合の提供根拠の確認
  • 海外拠点の有無や事業内容、取り扱うデータの種類によっては海外法の規制対象になることもありますし、違反した場合は、制裁金が課されるリスクもあります。データマッピングは、自社に適用される海外法を確認する意味でも、各法令で定められた義務への対応漏れを発見する意味でも役立ちます。不安な場合は、法務部や弁護士などの専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。 

    >>GDPRの規制内容について詳しく知りたい方はこちら

    >>CCPA(CPRA)の規制内容について詳しく知りたい方はこちら

    3. データマッピングの具体的な実施手順

    ここからは、データマッピングの具体的な手順をご紹介します。

    3-1. ステップ1:データマッピングの目的の明確化

    まず、データマッピングの目的を定めます。何を、なぜマッピングするのかを理解し、それに基づいて具体的な目標を設定します。たとえば、プライバシー関連法に準拠するためのデータフローの可視化やデータセキュリティの向上などが挙げられます。

    3-2. ステップ2:データの収集とフォーマットの把握

    次に、データを収集し、データソースのフォーマットを把握する作業を行います。最終的にはどのようにマッピングを行うかまで決める必要があるため、データ収集の時点で形式の差異を把握してマッピング後のイメージを持っておくとスムーズです。

    3-3. ステップ3:マッピングルールを設計する

    データが集まったら、どの項目をどの項目にマッピングするかなど具体的にマッピングルールを設計します。このルールは、マッピング後のデータの品質にも関わるため、慎重に行いましょう。

    3-4. ステップ4:マッピングを実施する

    ルールが定まったら、いよいよマッピングを実施します。この時、先に設計したルールに基づいて正しくマッピングが行われているかどうかを随時確認しながら進めるようにしましょう。予期せぬエラーなどが発生した場合は、素早く対処できるようあらかじめ通知設定などを行っておくと安心です。

    3-5. ステップ5:マッピングを検証する

    マッピングが完了したら、正しく行われたかどうかを最終検証しましょう。必要に応じて、修正や調整も行います。

    4. データマッピング運用のポイント

    4-1. 定期的に更新・見直しを行う

    データマッピングは一度実施するだけでは意味がありません。 定期的に更新・見直しをしてこそ適切な管理がなされていると言えます 。状況によっては、そもそもデータソースやマッピング後のフォーマットに変更が必要になることもあるかと思います。そのような場合も、都度更新をしていくことを心がけましょう。

    4-2.部分的にツールを利用して自動化を行う

    一方で、常に人力で更新し続けるとかなりの人的コストがかかります。そのため、ツールで代用できる部分は思い切ってその力に頼りましょう。現在は、さまざまな企業からデータマッピングツールがリリースされています。それらを利用すれば、データマッピングの一連のプロセスを自動化でき、大規模なデータマッピングも容易になります。

    また、 手入力では防ぎ得ない人為的なミスも防ぐことができるのも、ツールを利用するメリット です。

    4-3.最後は人の目でみて確認する

    ツールを活用してマッピングができるのは、あくまでデータベースなどに登録されている情報のみであり、紙媒体の情報は収集できません。こういった情報を抜け漏れなく収集するためにも、 最後は人の目で確認を行うことが重要 です。

    5.まとめ

    本記事では、データマッピングの重要性や具体的な手順についてご紹介しました。データマッピングを実施することで、さまざまなメリットが期待できます。未実施の企業の方は、ぜひ本記事を参考にデータマッピングの実施を検討してください。

    公開日:2025年8月12日

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