Cookieとは?役割や種類、メリット・デメリット、仕組みについて徹底解説

Cookieデータ管理・活用 2020.12.28
Cookieとは?役割や種類、メリット・デメリット、仕組みについて徹底解説

「Cookie」は、インターネット体験を快適にする技術です。Web上に存在する多くのサイトがCookieを利用しており、目に見えないところでインターネットユーザーやWebメディアを運営する企業にメリットを与えています。

しかし近年、Cookieを「プライバシーを侵害する存在」として捉え、取り扱いに制限を設けるべきだとする声が大きくなってきました。そこでここでは、Cookieのそもそもの役割と種類、その仕組みや規制が進む背景について解説していきます。

1. Cookieの役割とは?種類と仕組みについて

Cookieは、ユーザーが入力した情報や行動データを保存する仕組みのことです。その種類は以下の2つに大別されます。

  • 1st Party Cookie
  • 3rd Party Cookie

それぞれ、どのような役割を持っているのかご説明します。

1.1 1st Party Cookie(ファーストパーティークッキー)

1st Party Cookieは、ユーザーが訪問したWebサイトから発行されるCookieです。1st Party Cookieは主にWebサイトのログイン情報や閲覧履歴、カート内の商品情報(通販サイトの場合)を保持する目的で使用されており、基本的には単一のサイト内で活用されます。

1.2 3rd Party Cookie(サードパーティークッキー)

3rd Party Cookieは、現在訪問しているサイト以外から発行されたCookieです。1st Party Cookieが一つのサイト内における情報収集を担う一方、3rd Party Cookieは複数のサイトをまたいでユーザーの行動データを収集する能力を持っています。

たとえば、WebサイトAの閲覧後にWebサイトBへ訪問した時、WebサイトAの商品・サービスが広告として表示されたような経験はありませんか?

人によっては広告に追いかけられているように感じるこの現象。これは、3rd Party Cookieによりサイトをまたいで収集された情報をもとに、マッチ度が高いと思われるユーザーへ広告配信を行う「リターゲティング」と呼ばれる仕組みによるものです。

広告配信のほかにも、WebサイトAからWebサイトBに移動した人数を計測するなど、マーケティングに使えるあらゆる行動データの収集に3rd Party Cookieが活用されています。

2. ベンダー主導で進むCookie規制

Cookieのうち、Webサイトをまたいでユーザー行動を監視する3rd Party Cookieは、プライバシーの観点から規制すべきといった意見があります。Apple社の自社ブラウザ「Safari」は、ITPと呼ばれる技術によりCookieの働きを大きく制限しており、3rd Party Cookieに関してはその働きが完全にブロックされます。

こうしたCookie規制の流れは強まっており、Google社も2022年ごろを目途に3rd Party Cookieのサポートを終了すると公表しています。

シェアの大きなWebブラウザの中でも、特にCookie規制へ力を入れているSafariについては以下記事で詳しく解説しています。本記事とあわせてご参照ください。

>>【Cookieを完全ブロック】Safariに実装されたITPについて解説

3. Cookieを使うことのメリットとは?

次に、Cookieを使うことのメリットを、ユーザー視点と企業・Webマーケター視点でそれぞれ解説していきます。

3.1 インターネットユーザーにとってのメリット

Cookieがもたらすユーザーにとってのメリットは、大きく2つあります。

  • 情報入力の手間を省略できる
  • 自身の好みに合致した広告が配信される

Webサイトに訪問するたび、ログイン情報を一から入力しなければならない状況は不便に感じられます。1st Party Cookieは、こうした不便さを情報入力の省略で解消し、ユーザーに快適な体験をもたらします。

また、インターネットの閲覧時に配信される広告が、より自身の興味関心を反映した内容となる点もメリットです。時に広告を煩わしいと思う状況もあるかもしれませんが、3rd Party Cookieの技術によって基本的に「自身にマッチしている広告」が表示され、より良い商品・サービスと出会える機会が増える点は評価できるはずです。

3.2 企業・Webマーケターにとってのメリット

Cookieの活用により企業・Webマーケターが得られるメリットは以下です。

  • ユーザーの行動データを収集して事業に役立てられる
  • マッチ度の高い見込み客に絞って広告配信ができる

Cookieの働きによって、企業やWebマーケターは管理しているサイトに訪問したユーザーがどのようなページを見て、どういった行動を起こしているのかが手に取るようにわかります。Googleアナリティクスを始めとするWebサイトの分析ツールを使ったマーケティングは、Cookieにより支えられているといえるでしょう。

また、先ほど解説したリターゲティング(他サイトに訪問している自社とマッチ度の高いユーザーへ広告配信をする仕組み)はCookieによって行われるため、年齢・性別・購買傾向などをもとにしたマーケティングを行っている企業やWebマーケターは、Cookieのメリットを全面的に受けていることとなります。

4. Cookieを使うことのデメリットとは?

Cookieの利用にともなうユーザー視点のデメリット、企業・Webマーケター視点で注意すべき点についても解説していきます。

4.1 インターネットユーザーにとってのデメリット

Cookieがもたらすユーザーにとってのネガティブな側面としては以下が挙げられます。

  • Cookieが流出すれば、個人情報の不正利用などのセキュリティリスクが発生する
  • 自身の行動をのぞき見されている感覚になる

接続しているWebサイトにセキュリティ上の問題があれば、Cookieが流出する恐れがあります。Cookieに保持されている情報の中には個人情報に近いデータが含まれる場合もあるため、セキュリティリスクが発生する可能性は否めません。

2020年に起こった、ゆうちょ銀行のサービス「mijica」における会員情報の流出、それにともなう不正出金のような問題に発展する可能性があるのです。パソコンを共有する場合に、Cookieに保存されている情報が自分以外の利用者に知られてしまう可能性もあるでしょう。

また、自身の行動データをもとに広告配信やコンテンツの出し分けをする3rd Party Cookieの働きに対して、プライバシーを侵害されているような感覚に陥ることも考えられます。対策としては、Webブラウザの設定からCookieをブロックしたり、定期的にCookie情報を削除したりといった方法が挙げられます。

4.2 企業・Webマーケターが注意すべき関連法について

プライバシー保護の観点から、複数の地域でCookieの取得・管理にまつわるルールが設けられつつあります。

Cookieの利用目的・利用期間を開示して、ユーザーから同意を得ることを義務付けるGDPR(EU一般データ保護規則)。ユーザーがデータの開示・削除を要求した際、45日以内の対応を強制するCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)は、それぞれEUとアメリカ合衆国カリフォルニア州で施行されたCookieを含む個人データの取り扱いを規定する法律です。

違反すれば巨額の制裁金を支払わなければならないため、グローバルにビジネスを展開する場合には関連法について確認し、リスクを考慮して法律に抵触しないようCookieを取り扱う意識が必要となるでしょう。

GDPRについては下記記事で詳しく解説しています。この記事とあわせてぜひご一読ください。

>>GDPR施行により世界のプライバシー・データ保護はどう変化する?

5. まとめ

Cookieにはポジティブな面もネガティブな面もありますが、プライバシーが重視される現代においてはネガティブな面がより強調されているように感じられます。もちろん、ユーザーにとっても企業にとっても有益な側面もありますので、Cookieの利便性を受け継ぎながら双方が安心して利用できる新技術の登場が待たれるところです。

またCookieにより収集した情報をマーケティングに活用する事業者にとっては、新技術登場やGDPR・CCPAのような法律の施行は、ビジネスそのもののあり方を変えるほどのインパクトを持つものです。今後の動向を常に注視し、新しい技術にすぐに対応できる準備を整えておくことを推奨します。

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