【Cookieを完全ブロック】Safariに実装されたITPについて解説

Cookieデータ管理・活用 2020.06.29
【Cookieを完全ブロック】Safariに実装されたITPについて解説

Safariに実装されているITPが、たび重なるアップデートの末にCookieを完全ブロックしたため、Cookieに依存していたWeb広告業界を中心にショックが広がっています。

ここでは、Safariに実装されたITPがどのような機能を有しているのか、Cookieがブロックされることでどのような弊害が起こるのか説明いたします。

1. Safariに実装されているITPの機能

Apple社のブラウザであるSafariは、ITPと呼ばれるトラッキングの抑制機能を実装しています。主にCookieの働きを抑制する内容になっており、ITPはバージョンアップを経て以下のように規制の内容を厳しくしています。

バージョン(更新時期)

主な変更点

ITP1.0(2017年9月)

3rd Party Cookieを最後のインタラクションから24時間で無効化し、発行から30日でインタラクションに関係なく削除。

ITP2.0(2018年9月)

3rd Party Cookieは即無効化されて、発行から30日で削除。1st Party Cookie のうち、4つ以上のドメインからリダイレクトされたものは、3rd Party Cookieと同じ扱いとなり無効化されたのち、削除。

ITP2.1(2019年3月)

1st Party Cookie のうち、JavaScriptにより生成されたものは最後のインタラクションから7日間で削除。

ITP2.2(2019年4月)

特定の条件下において、1st Party Cookie のうちJavaScriptにより生成されたものは、最後のインタラクションから24時間で削除。

ITP2.3(2019年9月)

特定の条件下において、最後のインタラクションから7日間でストレージデータ(ローカルストレージ)が削除。インタラクションがない場合は即削除。

Full Third-Party Cookie Blocking and More

3rd Party Cookieは完全にブロック。特定の条件下でのみ、最後のインタラクションから7日間でセッションストレージを含むいくつかのストレージデータが削除。インタラクションがない場合は即削除。

特に3rd Party Cookieの規制は厳しく、3rd Party Cookieを活用するWeb広告に関連した事業は、多大な弊害を被ることとなりました。

2. 3rd Party Cookieがブロックされることの弊害

3rd Party Cookieが規制されることで起こる不具合は、主に次の3つの観点で語られます。

 集客:集客用広告における配信の最適化

 対応:顧客に応じたコンテンツの提示

 分析:ユーザー行動に関する効果測定

これまで、上記の施策は3rd Party Cookieを頼りに行われていましたが、ITPのたび重なるアップデートはこれらの施策が成立しない状況を作り出しました。3rd Party Cookieを用いてユーザーを追跡したり、サイトの訪問回数によってコンテンツを出し分けたりといった機能が、ピンポイントに阻害されるようになったからです。

CV(コンバージョン=成約)率が正常にカウントされないことも確認されており、アドテクノロジー(インターネット広告にまつわるシステム)の利活用に大きな弊害を招く要因となっています。

3. Cookie規制の流れは拡大する見込み

Cookieを規制する流れは拡大しており、多くのWebブラウザがCookieを制限する機能を標準として定め始めました。ただしすべてのCookieが等しく規制されているわけではなく、現状では3rd Party Cookieを中心として厳しい制限が行われています。

たとえば、ITPは1st Party Cookie に関する制限を「JavaScript により生成された1st Party Cookieは、最後のインタラクションから一定時間が経過したとき削除する」と定めており、ITPから完全にブロックされる3rd Party Cookieに比べて規制は緩やかな内容となっています。

なお、こうしたCookie規制の流れは、欧州を中心とするプライバシー保護を強化する風潮が関係しています。世界的に個人データの扱いが厳格化されつつあるなか、Cookie関連の規制がどのレベルにまで強化されるのか予想することは難しく、Cookieに代わる技術も多数開発されるものの代替策はいまだ確立されていません。

現状、1st Party Cookieは3rd Party Cookieほどの厳しい規制を受けてはいませんが、段階的に制限が加わっている点を考慮すると、いつ規制強化が起こっても不思議ではないため、1st Party Cookieの利活用が主である事業者もアンテナを張っておくべきです。

1st Party Cookieと3rd Party Cookieの詳細な違いについては、以下記事で解説しています。あわせてご参照ください。

>>Cookie(クッキー)の意味とは?マーケティング担当者の必要知識を解説

4. Safari以外のブラウザの動向

Cookieを活用している企業は、ITP実装を通じてApple社が見せたプライバシー保護の姿勢を「数あるブラウザのうち1つが規制されたに過ぎない」と軽視すべきではありません。

なぜなら、Safari以外のブラウザもCookie規制を進める姿勢を見せており、もはやCookieの扱いを厳しく制限するブラウザは一部の存在とはいえないからです。

世界トップシェアのブラウザとして知られるGoogle Chromeを提供するGoogle社も、一定の猶予を設けたのち3rd Party Cookieのサポートを打ち切ると公表。この発表により、Cookieに対する依存度が高かったWeb広告業界には激震が走りました。

このほか、すでにMicrosoft社のブラウザであるEdge、Mozilla Foundation社のブラウザであるFirefoxなど、名のあるブラウザが軒並みCookie規制に舵を切っています。

5. まとめ

Safariにおけるユーザー行動の追跡・分析を制限するITPの実装を皮切りに、各種ブラウザのCookie対策が標準となりつつあります。こうしてCookieの働きが抑制されることによって、集客や顧客対応の最適化、効果測定に不具合が生じます。

Cookieを利用する事業者は、Cookieに代わる技術の登場をキャッチアップし、いち早く自社の事業に組み入れられるよう常に最新の動向を追うべきでしょう。