セミナーレポート前編:マーケティングDXの推進とMA・CRMツールの活用ポイントは?これからのマーケティングDXとは~時代・法律の変化にどう対応していく?~

データ管理・活用 2021.02.24
セミナーレポート前編:マーケティングDXの推進とMA・CRMツールの活用ポイントは?これからのマーケティングDXとは~時代・法律の変化にどう対応していく?~

2021年1月28日、Priv Tech株式会社(以下、Priv Tech)は、株式会社Digital Identity(以下、DI)とWebセミナーを共催しました。

本記事では前編と後編に分けセミナーレポートをお届けします。

前編はデジタルマーケティングを軸に、企業のDXを支援するDIから、チーフコンサルタント花田直人による解説をお届けします。

>>【セミナーレポート】後編:個人情報保護法改正のリスクや対策とは?「これからのマーケティングDXとは~時代・法律の変化にどう対応していく?~」

マーケティングDXとは?各社の取り組み状況や活用例

マーケティングDX、デジタルシフト、マーケティングDXの違い

・DXとは
IT技術を用いて人々のあらゆる体験をよい方向に変化させることを意味します。

・デジタルシフト
アナログ業務をデジタルに置き換えることです。お金の管理をエクセルから経費精算システムにシフトするなどは、デジタルシフトです。

・マーケティングDX
デジタルツールやデータ活用で既存のマーケティングプロセスを変えていくことです。デジタルシフトしたものをマーケティングに活かすことを指します。

マーケティングDXの定義

日本のマーケティングDXを巡る「2025年の壁」

花田

経済産業省が、「DX銘柄2020」「DX注目企業2020」を公表するほど国も注目しています。
2025年頃には下記のような問題が起こると発表され、「2025年の壁」とも呼ばれます。

  • マーケティングDXに取り組まずデジタル競争で生き残れない会社の増加
  • マーケティングDXに使用するシステムの維持費の高騰
  • エンジニアやデジタルマーケティング領域の知見を持つ人材の不足

「2025年の壁」このままではどうなってしまうのか

日本企業のマーケティングDX 成功事例3選

大手企業をはじめ、マーケティングDXがどのように活用されているか事例を解説します。

花田

 世間に公表されているマーケティングDXの事例を3社紹介します。

・株式会社ミスミグループ 様

見積もりや発注などを、AIに置き換えて半自動化。設計データから加工プログラムを自動生成する仕組み「meviy」を開発。​元々、短納期で提供できる部品は顧客企業が求める部品点数のわずか半分のみで、残りは設計図面をつくり、加工業者に見積もりを依頼し発注する必要があったため、部品が顧客の手元に届くまでに約3週間かかっていた。​
「meviy」の導入で、3Dデータから自動で見積もりや発注が可能になり、顧客に届けるまでの期間の2週間以上の短縮に成功。
(参考:2500枚の図面をFAXで送る製造業を変えたい | ミスミがAIを活用した見積もりの自動化に挑む

・株式会社資生堂 様

肌データに基づきユーザーに適したスキンケアを施せるIoTシステム「Optune(オプチューン)」を開発。専用アプリで肌状態を測定し最適な肌ケア方法を抽出。このサービスがきっかけで化粧品を月額課金制で販売する新しいビジネスモデルを作り出す。
 (参考:資生堂、AIを活用した皮膚解析の新技術『デジタル3Dスキン TM』を開発)

・日本交通株式会社 様

過去の乗車履歴に加え、現在開催しているイベントの情報や気象情報、鉄道の遅延情報を組み合わせAIが分析し、乗車需要が多い場所を予測する「AI配車」を開発。​実車率向上により収益拡大を目指す取り組み。
 (参考:「AI×タクシー」で日本交通が収益拡大に自信、労務改善も

企業のマーケティングの課題は主に3つ

マーケティングDXで解決できる企業の課題を花田は解説します。

花田

企業のマーケティングDXの課題で多いのが以下の3つです。

  1. セミナーやメルマガで獲得したリードを有効活用できていない
  2. CRM(顧客関係管理)ツールの有効活用ができていない
  3. マーケティング担当が業務に追われ施策を打てない

マーケティングDXはこのような課題を解決します。上記で登場したCRMを含めて、改めて各ツールの意味を整理します。

「ツール解説」CRM・SFA・MAとは

各ツールを、BtoB・BtoCそれぞれの視点で解説します。

BtoBの場合

① お客様の情報を取得(リード獲得)
② 商談
③ 受注
④ アップセル、クロスセル

この流れが一般的ですが、マーケティングDXでは・CRM・SFA・MAの三種のツールを使います。 CRM・SFA・MAについて

BtoCの場合

一般消費財の靴やバッグをイメージしてください。購買記録をCRMに取り込むことで購買データを一箇所にまとめ、更にセグメントできます。これはMAの領域です。

具体的には、下記のようなことが可能です。

  • 特定の人だけにメールを送る
  • アプリでPOPを出す
  • 通知を送る
  • アプリと連携、LINEと連携
  • メッセージ配信や広告配信

花田

今回は触れませんが、実はSalesforceとFacebookは連携ができます。お客様が溜めた情報と、広告の媒体を連携する取り組みが、今後さらに増えていくと考えています。

シナリオツールを活用 MAツールの特徴と具体例

MAツールの活用により、具体的にマーケティング活動がどのように効率化されるのか、どのような特徴や効果があるのかを解説しました。

花田

MAツールの特徴はシナリオ設定にあります。特定の条件を満たした人だけに、特定のアクションをおこなうなどのルールを決めることができます。ルールさえ決めておけば、あとは自動でユーザーとコミュニケーションがおこなわれます。

こちらはECの例です。

【条件】カートに300円以上の商品が入っているか

  • 入っている場合・・・入っている人向けの専用メールを送る。
  • 2日後に再度メールを送ることも可能。

  • 入っていない場合・・・入っていない人向けの専用メールを送る。

MAのポイント

BtoBの場合、フォームに訪れ、入力・送信したお客様の情報とCookieの情報の紐付けもできます。お問い合わせされたお客様のCookieから、どのサービスページを閲覧したかを把握し、営業トークに活用できます。

~チャットボット×MA×CRMの構築支援事例(DI事例)~

花田は自社でおこなった日本初といわれるSalesforceを活用した事例を紹介しています。

花田

弊社のSalesforce事例を紹介します。
メールやサイトのトラッキングができるSalesforceのPardotを使い、そのデータをSalesforceに格納しました。SalesforceのMarketing Cloudを使うと、LINEと連携ができ、LINEのコミュニケーション情報の同期が可能です。また、Webサイト上にチャットボットを立ち上げ、お客様とやり取りをした情報をSalesforceにつなぎました。

チャットボット×MA×CRM構築の全体図

花田

ここまでいろいろなチャネルをSalesforceにつなぎこんだのは初めてだそうです。
マーケティングDXが騒がれていますが、ツールを導入しても活用しきれていない企業様が多い印象です。

公式LINEのMA・CRMツール「Liny」を活用する

公式LINEを活用してのマーケティングを効率化するMAツール、Linyについて次のように解説します。

花田

Linyは、公式LINEにはない拡張機能が使えます。LINEのビジネス活用を加速できるツールで、セグメント配信・ステップ配信・顧客管理などが可能です。タグや顧客情報を利用し、その人に合った情報を届けられます。

「liny」LINE活用について

花田

LINE単体ではセグメント配信ができません。Linyでセグメント配信をおこなうメリットは3つあります。

  1. 不要な配信を避け、ブロック率を下げる
  2. 不要な配信を避け、無駄なコストを抑える
  3. 過去のトーク履歴が消えない
    (LINEのトーク履歴は一定数の情報を越えるとデータが消える)

マーケティングDXのためにMAを導入すると開発コストが高くなるので、このLinyを紹介することが多いです。

LinyはMA/CRMツールとしても優秀です。

セグメントだけでなく情報をストックでき、各ユーザー合わせた最適なコミュニケーションが取れます。一斉配信や購入者、非購入者とセグメントしての配信(リッチメニューの活用)も可能です。

重要ポイントは、数値の可視化とMIツールの活用

マーケティングDXでは、MA・CRMツールを導入するだけでなく、数値の可視化と活用が重要であると花田は解説します。その可視化のために有効なツールを次のように解説します。

花田

マーケティングDXの重要課題の1つに「数値の可視化」があります。Googleアナリティクスなどのデータ可視化や、売り上げの可視化はMI(Machine Intelligence)ツールが有効です。MA・CRMツールを導入したものの、分析に時間がかかって悩まれている企業様には、MIツールを紹介しています。

弊社ではSalesforceのMIツールであるDatoramaを使っています。
Datoramaは広告媒体データやPOSデータなどを取り込むことができ、課題の解決に役立ちます。大手広告代理店ではCMのリーチ率とサイトのトラッキングの相関性をリアルタイムでチェックしています。今後はこういった取り組みが増えると思います。

マーケティングDXはDX・デジタルシフトとは異なり、マーケティング領域でのDXのことをマーケティングDXと呼びます。マーケティングDXによりマーケティング活動は最適化、効率化されるので導入が遅れた企業は競合に差を付けられることが予想できます。導入できていない企業様も多いので、どんどんデジタルの領域に踏み込んでほしいです。コミュニケーションの領域で一番大きいプラットフォームはLINEです。LINEを活用するだけでもマーケティング活動はさらに最適化できます。

<まとめ>

  1. マーケティングDXはデジタル移行によりマーケティングそのものを変革することである。
  2. マーケティングDXに乗り遅れる企業は「2025年の壁」を越えられない
  3. マーケティングDXでは、MA・CRMツールを導入するだけでなく、数値の可視化と活用が重要

>>【セミナーレポート】後編:個人情報保護法改正のリスクや対策とは?「これからのマーケティングDXとは~時代・法律の変化にどう対応していく?~」

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