サーバーサイドGTMとは?特徴やメリット/デメリット、活用方法をご紹介
あらゆるモノ/コトのオンライン化が進む中、企業活動も今やオンライン施策が主流になりつつあります。特に、Webマーケティングに力を入れている企業様においては、「タグマネージャー」と呼ばれるツールを導入しているケースも多いのではないでしょうか。
本記事では、Google社が提供するタグマネージャーの新機能「サーバーサイドGTM」について、その特徴や導入のメリット/デメリットおよび活用方法をご紹介します。
1. サーバーサイド GTM とは?
1-1. Webマーケティングに欠かせないタグを管理する「タグマネージャー」
さまざまな数値の計測のために、Webマーケティングにおいてはタグの利用が欠かせません。サイト訪問者の行動を把握するためのトラッキングタグから、特定の成果につながる行動を測るコンバージョンタグなど、マーケティング担当者は日々多数のタグを管理・運用しています。
その管理・運用業務を効率化するのが「タグマネージャー」です。
タグマネージャーを利用することで、以下のメリットがあります。
- HTMLを触らずに、それぞれのページへの設置タグを一括管理
- プレビューによるテスト実施
- バージョン管理
また、タグマネージャーサービスには複数あり、下記のようなものが挙げられます。
- Googleタグマネージャー
- Yahoo!タグマネージャー
- dynamic tag management
- TAGエビス
- Tealium
このうち、Googleタグマネージャーのことを略して「GTM」と呼びます。(以下、GTM)
1-2. サーバーサイドGTMとは
2020年8月に、GTM内のコンテナ種別に新たに「Server」が加わりました。この機能のことをサーバーサイドGTMといいます。
これまでのGTMは、ユーザーのブラウザ上でタグの処理を行っていました。それに対し、サーバーサイドGTMは、「Server」コンテナ内のタグの処理を、ユーザー(ブラウザ)とは切り離された環境で行うことができます。
その名称から誤解されやすいのですが、サーバーサイドGTMはあくまでGTM内の一機能を指しており、GTMの代替ではありません。GTMとセットで使うものです。
1-3サーバーサイドGTMの仕組み
サーバーサイドGTMにおいては、GTMのスニペットタグは使用しません。
代わりに、「エンドポイントURL」というURLを持っており、そこに通信データを受信すると起動する仕組みになっています。
よって、実際にサーバーサイドGTMを起動させる場合は、すでに設置されている計測タグのデータ送信先をサーバーサイドGTMに設定します。
2. サーバーサイドGTM のメリット
サーバーサイドGTMを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからはサーバーサイドGTMのメリットについてご紹介いたします。
2-1. サイトの表示速度の向上
サーバーサイドGTMを活用することで、サイトの表示速度が向上します。
先述の通り、サーバーサイドGTMはタグの処理をサーバーサイドで行います。そのため、ユーザーのブラウザ上で行わなければならない処理が減り、結果としてサイトの表示速度が向上するのです。
従来のGTMでは、設置しているタグが多くなるとどうしてもページの表示に時間がかかってしまうのが課題でしたが、サーバーサイドGTMを使えばその影響を軽減することができます。
2-2. ITP対策
2つ目のメリットとして、サーバーサイドGTMの利用によりITP対策が可能になることが挙げられます。
ITPとは、「Intelligent Tracking Prevention」の略で、Appleが提供するブラウザであるSafariに実装されたトラッキング防止機能のことを指します。この機能により、Safariブラウザではサイトを訪れたユーザーに対するCookie発行の制限や削除がなされています。
これにより、従来のGTMでは、Safariブラウザを使用しているユーザーとその他のブラウザを使用しているユーザーとの間でCookieの有効期間が異なり、アクセス解析やコンバージョン測定にも影響が及んでいました。
サーバーサイドGTMには「カスタムドメイン設定」というものがあり、エンドポイントURLを自社サブドメインにすることができます。そうすることで、ユーザーのブラウザからみるとサーバーサイドGTMのドメインが自社サイトと同一になり、サーバーサイドGTMが発行するCookieが、ITP規制の影響を受けにくい1st Party Cookieになります。
2-3. セキュリティ強化
メリットの3つ目は、セキュリティが強化できることです。
サーバーサイドGTMにおいては、ユーザー(ブラウザ)とは切り離された環境でタグの処理を行うことができるとご説明しました。
つまり、意図しないタグから影響を受ける可能性のあるブラウザ側から、よりセキュアなサーバー環境へデータを隔離することにより、セキュリティを確保できるのです。
2-4. サーバーサイドGTMのデメリットは?
ここまではサーバーサイドGTMのメリットについてご説明しましたが、デメリットについても知っておく必要があります。
サーバーサイドGTMのデメリットは下記です。
- Google Cloud Platformに費用がかかる
- 初期設定に時間がかかる
1つ目は、サーバーを設置するために必要なGoogle Cloud Platform(以下、GCP)の利用に費用がかかることです。従量課金制となっており、企業によっては月2~3万円程度、あるいはそれ以上の費用がかかってしまう可能性があります。
ちなみに、初期費用や解約費用はかかりませんので導入自体は手軽に行うことが出来ます。
2つ目は、初期設定に時間がかかることです。サーバーサイドGTMの設定には、マーケティング担当者の範疇を超えたスキルや知見が求められます。場合によっては情報システム部など他部署との連携も必要かもしれません。
そういった点で、サーバーサイドGTMの設定には多くの時間を要する可能性があります。
3. Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)の実装にもサーバーサイドGTMが使える
3-1. コンバージョンAPI(CAPI)とは
コンバージョンAPI(CAPI)とは、Meta(旧Facebook)社が開発した「Cookieを利用しない広告の計測手段」のことを指します。言うまでもなく、CAPI誕生の背景には各社によるブラウザの3rd Party Cookie規制や各国のプライバシー法によるCookieの利用規制が挙げられます。
これまでのFacebook広告では、ピクセルタグをページに埋め込むことでCookieを発行し、そのデータを広告媒体に送信することでコンバージョン計測を行っていました。しかし、Cookieの利用に制限がかかることで、Cookie発行およびデータの送信ができなくなり、従来の方法では正しくコンバージョン計測を行うことが難しくなりつつあります。
そこで新たに開発されたのがCAPIです。CAPIの技術を使用することで、Cookieの発行およびデータの送信を広告主自身のサーバーから行えるため、3rd Party Cookie規制に対応できるようになりました。
3-2. 実装できるエンジニアがいない場合は、サーバーサイドGTMの活用も視野に入れて
CAPIを自社で実装する場合、エンジニアの協力を仰ぐ必要があります。そのため、企業によっては社内調整に時間がかかってしまう、そもそも知見のあるエンジニアがいないなど、課題が出てくる可能性もあります。
自社サーバーで1からCAPIを実装することが難しい場合は、Facebookと統合できるパートナープラットフォームやサーバーサイドGTMを活用することでも対応が可能です。1から実装するよりは手軽に行うことができますので、CAPIの導入を検討している企業は、実装の一手段として検討してみてはいかがでしょうか。
サーバーサイドGTM対応は、プロにお願いするのもひとつの手
サーバーサイドGTMについては、幅広く専門的な知識を要します。
現在のところ、まだまだ事例も少なく、設定次第では意図していなかった事態に陥る可能性も十分にありますので、プロに設定や管理をお願いするのも一つの手段として有効です。
Priv Techでは、サーバーサイドGTMの導入支援を行っております。ぜひお気軽にご相談ください。
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公開日:2022年9月21日