【ITPのアップデート内容一覧】企業が行うべき対策とは?

ITPデータ管理・活用 2020.09.30
【ITPのアップデート内容一覧】企業が行うべき対策とは?

インターネットが普及し、Web広告の市場は急拡大していますが、主要なブラウザの一つである「Safari」に実装されている「ITP」は、広告配信の一部領域を強く規制しています。今後、同様の規制はさらに強まることが予想されており、Web広告を活用するいかなる企業もITPの存在を無視できなくなるでしょう。

ここでは、ITPが企業に与える影響とその対策、現在までのITPのアップデート内容についてご説明します。

1. ITPは企業にどのような影響を与えるのか

ITP(Intelligent Tracking Prevention)は、Apple社のブラウザである「Safari」に実装されていることで知られている、ユーザー行動の追跡や分析といったトラッキングを制限する技術です。

ITPはプライバシー保護を目的とする技術であるため、インターネットを利用する個人消費者にとってはありがたい存在だといえます。しかし、トラッキングにより得た情報を活用していた企業にとっては、その存在は脅威ともいえるものです。

特にITPが強く規制するトラッキングの手段「3rd Party Cookie」は、Web広告の領域と密接な関係にあるため、3rd Party Cookieの働きが制限されることは適切な広告配信を大きく損なうものともなります。

具体的に、Cookie規制により下記のような影響が生じます。

  • Web広告における集客や購買促進の最適化
  • 顧客に応じたコンテンツの出し分け
  • あらゆるユーザーデータの測定

たとえば、購買意欲の高い顧客を追跡し広告配信を行う「リターゲティング」と呼ばれる手法は、3rd Party Cookieを活用して行う有効な手段でした。また、ユーザーが何回サイトを訪問したのかを計測し、より適したコンテンツを出し分ける仕組みもCookieによるものです。

このほか、CV(コンバージョン=成約)数をはじめとするあらゆるユーザー行動の計測が困難となるため、ネットユーザーの動向をもとに事業を最適化してきた企業にとって、ITPがもたらすネガティブな影響は計り知れません。

2. 2020年までに行われたITPのアップデート内容

2020年7月現在に至るまでITPは繰り返しアップデートされており、過去のバージョン更新ではそれぞれ以下のような変更が加えられてきました。

バージョン (更新時期)

主な変更点

ITP1.0 (2017年9月)

3rd Party Cookieは最後のインタラクションから24時間で無効化。発行から30日経過した場合、インタラクションの有無にかかわらず削除。

ITP2.0 (2018年9月)

3rd Party Cookieは即時無効化され、発行から30日経過した段階で削除。1st Party Cookie のうち、4つ以上のドメインからリダイレクトされているものは、3rd Party Cookieと同様の扱いとなり無効化・削除。

ITP2.1 (2019年3月)

1st Party Cookie のうちJavaScriptにより生成されたものは、最後のインタラクションから7日間で削除。

ITP2.2 (2019年4月)

1st Party Cookie のうちJavaScriptにより生成されたものは、特定の条件下において最後のインタラクションから24時間で削除。

ITP2.3 (2019年9月)

ストレージデータ(ローカルストレージ)は、特定の条件下において最後のインタラクションから7日間で削除。インタラクションがない場合には即時削除。

Full Third-Party Cookie Blocking and More

3rd Party Cookieはすべてブロック。セッションストレージを含むいくつかのストレージデータは、特定の条件下において最後のインタラクションから7日間で削除。インタラクションがない場合には即時削除。

ユーザー行動を追跡し広告配信の最適化に用いられる3rd Party Cookieはアップデートのたびに規制が強められ、2020年7月時点における最新のバージョンの「Full Third-Party Cookie Blocking and More」では、完全に3rd Party Cookieがブロックされます。

この他、Webページのデータ保持を担うストレージデータ、ユーザーが入力したIDやパスワードを保持する1st Party Cookieも徐々に規制が強められています。

3. これから企業が行うべきITP対策とは?

Web広告を活用する企業がこれから行うべきITP対策は、大きく2つが挙げられます。

  • 各サービスに使う「タグ」を最新のものに適時変更する
  • Cookieに頼らない広告最適化の代替案をキャッチアップ

ITPにより、多くの広告サービスで測定タグが正常に機能しないケースが確認されています。各サービスは、ITPの更新に対応できるよう新たなタグを用意し、最新のものに更新することで正常に計測が機能するよう対策しています。そのため、広告サービスを利用する企業は常にタグが最新のものとなっているのかを確認すべきでしょう。

また、ITPによるCookie規制を皮切りに、今後はCookieを規制する流れがスタンダードになり、そもそもCookieを頼りに幅広いユーザーのデータを収集するという手法が使えなくなる可能性があります。そこで、最近ではGoogleをはじめとする複数の企業が、Cookieに頼らず広告サービスに役立つデータの収集を可能とする技術の開発に着手しています。

4. まとめ

ITPの存在はCookie規制の世界的な流れを作り出しており、Apple社以外においても、Safariと同じように自社のブラウザのプライバシー保護機能を強める姿勢が見られます。世界トップシェアを誇るブラウザ「Google Chrome」の提供元であるGoogle社も、一定の猶予を経て3rd Party Cookieのサポートを打ち切ると公表しました。

Cookieは将来的にプライバシーを一切侵害しない新技術に取って代わられる可能性が高いと考えられます。Web広告の活用をはじめとするユーザーデータの利活用を行う企業は、今後の代替案の登場に備えて、アンテナを常に張っておくべきでしょう。