CDPとは?特徴やメリット、マーケティングへの活用方法について解説!
デジタルマーケティングに欠かせないデータ基盤である「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」をご存知でしょうか。CDPとは、顧客データを収集・統合・分析するためのプラットフォームであり、マーケティング担当者ならば必ず理解しておく必要があると言っても過言ではありません。
ここでは、CDPの特徴や活用方法、昨今のプライバシー規制の潮流がCDPに与える影響についてご説明します。
1. CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは
1-1. CDPの概要と誕生の背景
CDPとはCustomer Data Platformの略で、企業が所有する顧客データを収集・統合・分析するためのプラットフォームのことを指します。
CDPで収集するデータは、Web上で直接自社と関わった顧客のデータ、つまり1st Party Dataです。
このCDPが誕生した背景には、大きく2つの理由があると言われています。
1つ目は、オンラインでの購買行動が活発になってきていることです。従来は、実店舗に来店し商品を購入するのが一般的でしたが、インターネットの普及により、今ではオンラインでの購買活動が主流になりつつあります。
リアル店舗での顧客との接点が少なくなり、顧客についてより詳細に知るためにはオンライン上での顧客行動等の分析をせざるを得なくなったということですね。
2つ目は、One to Oneマーケティングの手法が流行していることです。One to Oneマーケティングとは、顧客や見込み顧客の趣味嗜好・属性・行動履歴等を踏まえ、一人一人に対して最適なマーケティング活動を行う手法です。
これまでは「消費者のニーズは画一的なもの」とみなされていたため、マス向けのメディア広告を打つというマーケティング施策への効果が期待されていました。しかし近年では、消費者のニーズが複雑化してきており、より一人一人に焦点を当てたマーケティング施策が求められるようになってきています。
そういった状況に対応するため、より詳細に顧客一人一人を知るためのCDPが誕生したのです。
1-2. CDPとDMPの違い
CDPとよく混同されるものとして、DMPがあります。
DMPとは、Data Management Platformの略で、役割としてはCDPと同じく、データを収集・統合・分析することです。
では、CDPとDMPの違いはどこにあるのでしょうか。両者の大きな違いは、その設計思想にあると言われています。
実在する個人に紐付く情報として活用するか、膨大なデータをセグメント分けすることによって活用するかという点でCDPとDMPは異なるのです。
また、DMPの中にも2種類あり、パブリックDMPとプライベートDMPがあります。
パブリックDMPは、さまざまな機関が収集・蓄積した3rd Party Dataをマーケティングに活用しやすい形にして企業に提供しているものを指します。パブリックDMPの特徴は、CDPで保管しているような個人が識別できる情報を保管しない「匿名性」があることです。
プライベートDMPは、その名の通り閉ざされた場所でのDMPを指します。つまり自社が保有している情報を管理するもので、機能的にはほぼCDPと同様です。ただし、先述の通り設計思想が異なっているため、より詳細に説明するのであれば「セグメント単位で情報を管理するプライベートDMPのうち、さらに踏み込んで個人単位での情報まで管理するプラットフォームのこと」をCDPと定義するのがふさわしいかもしれません。
CDPの活用においては、自社顧客のデータのみならず、DMP上のセグメントデータを活用することにより、より自社顧客のデータを有効に活用できるようになります。CDPとDMPはあくまで補完関係にあるものであり、両者を同時に活用することによって、より効果的なマーケティング施策を打ち出すことができるのです。
2. CDPの特徴
2-2. CDPの導入によりできること
CDPの導入によりできることには、主に下記の3つがあります。
- データの収集
- 統合
- 分析
それぞれについて詳しくご説明します。
データの収集
CDPは各所に散らばったユーザー情報を収集することができます。オンラインはもちろんですが、中にはオフラインで獲得した情報をアップロードできるCDPもあり、うまく活用すればオンライン/オフラインで獲得した情報をまとめて管理することができます。
収集する情報の例としては、オンラインであればサイトを訪問したユーザーの行動履歴や属性、趣味嗜好などが挙げられます。オフラインであれば、実店舗での購入情報やアンケート結果等が挙げられ、それらを一元管理することができます。
データの統合
次に、収集したデータを統合することができます。CDPは、顧客一人一人に対して発行した固有のIDをもとに顧客を管理しています。そのため、各所から入手した情報をそのIDに紐付けることで、顧客データを一元管理することができます。
中には、外部データ(3rd Party Data)を使ってさらにデータ補完を行う機能のついたCDPもあります。
データの分析
最後に、統合したデータの分析ができます。統合段階で割り当てた固有IDをもとに、顧客一人一人の行動を深掘りして分析することができます。
属性が同じであっても、全員が全く同じ商品やサービスを購入するとは限りません。より詳細な行動履歴に基づいて施策を実施することで、最適なマーケティングを行うことができます。
3. CDPを導入するメリット
CDPを導入するメリットは、大きく3つあります。
- 顧客一人一人に合わせた施策実施
- データ分析〜施策実施までのPDCAサイクルの高速化
- 部署間での情報共有
まず、顧客一人ひとりに合わせたマーケティング施策の実施が可能になります。
インターネットが普及し、様々なツールやサービスが登場したことで、顧客とのコミュニケーションチャネルも多岐に渡っています。LINEやInstagram等のSNS、自社のメールマガジン、ホームページなど各所に散在している顧客情報をCDPで一元管理することにより、より多くの情報をもとに顧客分析を行うことができるようになります。
それにより顧客の行動をこれまで以上に深掘りすることができ、その結果顧客一人ひとりに最適な方法でマーケティング施策を打つことができます。
また、数あるCDPの中にはパブリックDMPなどの3rd Party Dataを連携させることができるものもあり、自社以外が保有するデータも活用することでより精度の高い顧客分析を行うことができます。
2つ目に、データ分析〜施策実施までのPDCAサイクルを高速化することができます。これまでは膨大な顧客データを手作業で分析していたため、データ分析のみで数週間かかるなんてことも珍しくありませんでした。
そこにCDPを導入することでデータ分析を自動化し、わずか数分で結果が把握できるようになり、顧客分析から仮説立て、施策実施までのPDCAサイクルを高速化することができます。
3つ目に、部署間での情報共有が容易になります。CDPを全社で活用することにより、一元管理している情報を社内で簡単に共有できるようになります。
当たり前ですが、顧客と関わるのはマーケティング担当者だけではありません。営業やカスタマーサクセスといった他部署のメンバーにもデータを共有することで、より効果的なアプローチをすることが可能になるでしょう。
4. CDPの活用方法
ここまでCDPの特徴や導入のメリットについてご紹介しましたが、決してCDPを導入しさえすれば良いというわけではありません。しっかりと活用し効果的な施策を実施するためには、適切なシステム設計と環境構築を行う必要があります。ここからはCDP導入後にすべきことをご説明します。
CDPを導入したら、まずはデータを蓄積していくことが最優先事項となります。CDPで取り扱うのは個人情報であるため、自社のプライバシーポリシーの内容を確認した上で、CDPへのデータの取り込みやデータ連携をする必要があります。
もし、CDPでのデータ活用方法が現状のプライバシーポリシーのデータ利用用途にそぐわない場合は、プライバシーポリシーの見直しから行わなければなりませんので注意が必要です。
データが蓄積できたら、次に分析できるよう取り込んだデータを分類・加工していきます。CDPにデータを取り込むだけでは、どのデータが誰のものなのかが整理されていないため、顧客ごとの分析ができません。各所から取り込んだデータを何らかのキー(ID、メールアドレスなど)をもとに顧客それぞれに割り当て、整理することが重要です。
データの分類・加工ができたら、最後に外部ツールやプラットフォームにデータを連携させます。これにより、いよいよデータの分析や分析結果をもとにした施策の実施が可能になります。
連携先ツール/サービスとしては、広告配信ツールや、CRM、MAなどが挙げられます。
このように、CDPを効果的に活用するためには事前に活用方法を練り、しっかりとしたシステム設計に基づいて設定することが必要になります。マーケティング担当者だけではなく、他部署も巻き込んで進めるとスムーズでしょう。
5. プライバシー関連法が与えるCDP活用への影響
近年、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)をはじめとする各国プライバシー関連法の成立により、世界的に個人情報の取り扱いへの注目が集まっています。日本でも2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、企業の個人情報の取り扱いに関してますます対応が求められるようになってきました。
この潮流は、CDPなどマーケティングツールの活用にも影響を及ぼしています。
GDPRでは、Cookie自体が個人データと定義されており、利用の際にはユーザーからの事前の同意が必要です。つまり、GDPRの適用対象となる場合はCDPにデータを取り込む前に同意が取れているかどうかの確認が求められます。
>>GDPRについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
「GDPRとは?概要や日本企業が対策すべき項目を解説」日本法である改正個人情報保護法では、Cookie自体は個人データではありませんが、第三者から提供を受けた個人関連情報を個人データと紐付けて利用する場合にはユーザーからの同意が必要になります。
例えば、パブリックDMPから受け取った属性データをCDP内で自社の顧客データと紐付けて利用する場合が規制対象に該当します。
このようにCDPの導入や活用は、各国プライバシー関連法の規制を受ける可能性があるため、法律についても理解した上で進める必要があります。必要に応じて、法務部や顧問弁護士、外部のコンサルタントに依頼するなどして対応するようにしましょう。
>>改正個人情報保護法について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
「【改正前後の条文比較】2022年4月施行!改正個人情報保護法(2020年6月可決・成立)が企業に与える影響は?」規制を受ける一方で、CDPの活用によりプライバシー法へ迅速に対応できるケースも存在します。例えば、データの削除要求があった場合は、CDPで顧客情報を一元管理していることにより、一括削除が容易になります。
まとめ
インターネットの普及により、顧客管理がますます複雑になってきていますが、CDPを活用することによりマーケティング施策を最適化することができます。そのためにはしっかりと戦略に基づいた設計を行い、正しく環境を整備するようにしましょう。
また、顧客データを取り扱う際はプライバシーへの配慮も必要です。不安な場合は専門家に相談するなどして、リスクを最小限に抑えられるよう心がけましょう。
>>Priv Techの「プライバシーコンサルティング」はこちら
公開日:2022年11月18日
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