ホワイトハッカーになるための必須知識とキャリア構築方法

セキュリティ 2025.08.28
ホワイトハッカーになるための必須知識とキャリア構築方法

1. ホワイトハッカーとは?

1-1 ハッカーの定義

一般的に「ハッカー」と聞くと、他人のコンピューターに不正アクセスを行うような人物を思い浮かべる方が多いと思います。しかし本来の定義では、ハッカーとはコンピューターやインターネットについて卓越した知見を持つ人のことを指します。つまり、そこに善悪の意味合いは含まれていません。また、ハッキングという言葉も同じく、善悪の概念は含まれておらず、コンピューターやシステムのプログラムを構築・解析する行為を言います。

1-2 ホワイトハッカーとブラックハッカー

先述の通り、「ハッカー」という言葉には善悪の概念は含まれていません。そのため、ハッカーによってその卓越した知識と技術をどのような目的に利用するかどうかは異なります。そこで、利用目的の善悪に基づいて分類したのが「ホワイトハッカー」と「ブラックハッカー」です。「ホワイトハッカー」は、コンピューターやシステムプログラムに関する知識・技術を善良な目的のために使用する人を指します。一方「ブラックハッカー」は、同様の知見を悪意のある攻撃に利用し、コンピューターネットワークに不正アクセスしたり、プログラムを破壊したりする人のことを指します。また、ホワイトハッカーとブラックハッカーの中間に位置する「グレーハッカー」も存在します。グレーハッカーは、そのハッキングスキルを善悪いずれの目的にも利用する場合があります。

1-3 ホワイトハッカーとセキュリティエンジニアはどう違う?

セキュリティエンジニアとは、セキュリティシステムの設計・運用・保守など組織内のセキュリティ業務を担当する職種を指します。一方、ホワイトハッカーはコンピューターなどに関する知識・技術を善良な目的のために利用する人のことを総称して言います。そのため、厳密には両者の言葉の使い方が違いますが、両者の業務内容には共通する部分も多く、その違いについての明確な定義はありません

2. ホワイトハッカーの役割とその重要性

2-1 ホワイトハッカーの企業や組織における役割

ホワイトハッカーは、企業や組織において次のような役割を担っています。

2-1-1 セキュリティ(脆弱性)診断と脆弱性の発見

セキュリティ診断(脆弱性診断)とは、企業のシステムやプログラムなどにセキュリティ上の脆弱性がないかどうかを調べる調査のことを指します。ホワイトハッカーは、この脆弱性診断の実施に関わることが多いです。早期に脆弱性を発見し対策することで、サイバー攻撃のリスクを抑えます。

セキュリティ(脆弱性)診断については以下の記事をご参照ください。

>>セキュリティ(脆弱性)診断について、詳しくはこちら

2-1-2 侵入テスト(ペネトレーションテスト)の実施

ペネトレーションテストとは、システムやプログラムに実際に侵入を試み、その目的をどの程度達成できるかを調べることで、セキュリティ上の脆弱性を見つけ出す調査方法のことです。ホワイトハッカーは、ブラックハッカーが実際に攻撃を仕掛ける時と同じような手法で侵入を試みます。

ペネトレーションテストについては以下の記事をご参照ください。

 >>ペネトレーションテストについて、詳しくはこちら

2-2 サイバーセキュリティの現状とホワイトハッカーの必要性

2-2-1 増加するサイバー攻撃とその影響

インターネットが普及する中、世の中のサイバー攻撃の数は年々増加傾向にあります。2023年に総務省が発表した「NICTERにおけるサイバー攻撃関連の通信数の推移」からも、その傾向が見て取れます。

総務省「NICTERにおけるサイバー攻撃関連の通信数の推移」.png

引用:総務省「情報通信白書」10章 サイバーセキュリティの動向

2-2-2 ホワイトハッカーの需要の高まり

このような情勢のなかサイバー攻撃のリスクを軽減するために、ホワイトハッカーの需要も同様に高まっていると言えます。特に企業においては、たった1件のサイバー攻撃で甚大な被害に繋がりかねないため、優秀なホワイトハッカーを求めています。そして、この需要は今後も高まり続けることが予想されます。

3. ホワイトハッカーになるには?

ではホワイトハッカーになるためには、どのようなスキルや知識が必要なのでしょうか?

3-1 ホワイトハッカーに必要なスキルと知識

3-1-1 ネットワークとシステムの知識

先述の通り、ホワイトハッカーとはIT関連のプロフェッショナルのことです。そのため、コンピューターネットワークやセキュリティシステム等の知識を持っておくことは最低限の条件になります。

3-1-2 さまざまなプログラミングスキルと知識

ペネトレーションテストなどを実施するためには、プログラミングスキルが必要とされます。HTML、CSS、JavaScriptなどのWeb言語はもちろんのこと、PHP、Ruby、Pythonなどかなり幅広く知識を持っておく必要があります。

3-1-3 セキュリティツールの使用法

ホワイトハッカーはセキュリティツールを利用して、脆弱性の有無を調査することもあります。そのため、代表的なセキュリティツールについては使用方法を熟知しておくと良いでしょう。具体的にはWireshark、Metasploit、Nmapなどがあります。

3-2 ホワイトハッカーになるための資格と認定

ホワイトハッカーになるための必須の資格というものは存在しません。しかし、自身のスキルを証明するために有効な資格はいくつかあります。以下に代表的なものを紹介します。

3-2-1 認定ホワイトハッカーCEH(Certified Ethical Hacker)

国際的にも知名度が高く、多くの企業が重視しているのが「CEH(Certified Ethical Hacker)」です。CEHは「米国国際電子商取引コンサルタント協議会」が提供する資格で、認定ホワイトハッカーと呼ばれるものです。ハッキング技術・ホワイトハッキングの専門知識など基本的な知識を必要としており、初めての資格取得におすすめです。

3-2-2 OSCP(Offensive Security Certified Professional)

OSCP(Offensive Security Certified Professional)は、アメリカのOffensive Security社が提供するペネトレーションテストに特化した認定資格です。この資格は、実践的な試験形式が取り入れられており、ハッキングスキルとセキュリティ知識を証明することができます。世界中のセキュリティ専門家やホワイトハッカーから高い評価を得られており、就職やキャリアップにも役立ちます。

3-2-3 その他の関連資格

そのほかに、世界最高峰のセキュリティ資格と言われる「CISSP(Certified Information Systems Security Professional)」や、「CompTIA」と呼ばれるIT業界団体が提供している認定資格などもあります。これらは比較的広範囲なセキュリティ知識をカバーしています。

3-3 ホワイトハッカーのキャリアパスと進路

3-3-1 初級から上級へのキャリアステップは?

ホワイトハッカーのポジションは、とにかく経験を積むことで上級へと進むことができます。そのため、まずはジュニアポジションとして基本的なセキュリティテストの実施からはじめ、少しずつ難易度の高いテストへ挑戦するのがおすすめです。その入口として、専門学校や大学などで学ぶことも選択肢として考えられるでしょう。

3-3-2 就職は大手企業もしくは専門会社で勤務

ホワイトハッカーの就職は、一般的に大手企業に属するか、専門会社に属する場合が多いです。大手企業に所属する場合は、社内のセキュリティシステムの全体を見渡しながら関わることができるかもしれません。一方、専門会社に所属する場合は複数社を担当とすることもできるため、さまざまな経験を積みたいという場合におすすめです。

まとめ

サイバー攻撃の数が年々増えるにつれ、ホワイトハッカーの需要は今後も増え続けることが予想されます。ホワイトハッカー単独での平均年収は統計としてあまり公表されていませんが、自身のスキルを磨けば大きく年収を上げることも夢ではありません。本記事がこれからホワイトハッカーを目指す方の参考になると幸いです。

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