脆弱性とは何か|セキュリティホールとの違いから対策まで徹底解説

セキュリティ 2026.01.29
脆弱性とは何か|セキュリティホールとの違いから対策まで徹底解説

近年、システムに潜む「脆弱性」を突かれることで、情報漏えいや業務停止といった深刻な被害が発生するケースが後を絶ちません。サイバー攻撃はますます巧妙化・高度化しており、大企業だけでなく中小企業もその標的となっています。

本記事では、脆弱性とは何か、放置するとどうなるかといった基本的な知識から、企業がとるべき対策まで実例を交えて丁寧に解説します。自社のセキュリティリスクを見直し、具体的な改善策を知りましょう。

1. そもそも脆弱性とは?セキュリティホールとの違いを解説

「脆弱性(ぜいじゃくせい)」とは、システムに潜むセキュリティ上の弱点のことです。

総務省では脆弱性について、以下のように定義されています。

脆弱性(ぜいじゃくせい)とは、コンピュータのOSやソフトウェアにおいて、プログラムの不具合や設計上のミスが原因となって発生するサイバーセキュリティ上の欠陥のこと

引用元:「脆弱性とは?」総務省

しかし、脆弱性の中には、運用ミスや人為的なエラーなども含まれると考えるのが一般的です。

脆弱性と似た言葉に「セキュリティホール」がありますが、これはOSやソフトウェアに対する「技術的な穴」を意味します。例えば、ソフトウェアに残る未修正の不具合や欠陥などです。

つまり、脆弱性はシステム全体に関わる広い概念であり、セキュリティホールはその一部分を指しています。なお現在では「セキュリティホール」よりも「脆弱性」という言葉が広く使われる傾向にあります。

2.脆弱性が生まれる4つの原因

ここでは、脆弱性が生まれる原因として以下の4つを解説します。

脆弱性が生まれる原因は、開発時の設計ミスやソフトウェアの管理不備、さらにはオフィスの物理的な環境とさまざまです。原因を把握し、どこに危険が潜んでいるかを見直しましょう。

2-1.開発段階での技術的な欠陥

システムやソフトウェアの脆弱性は、開発の初期段階、つまり設計時点から生まれていることがあります。セキュリティを十分に考慮せずに設計が進められた結果、下流工程では修正が難しい重大なミスがそのまま残ってしまうケースです。

具体的な欠陥の一つが、修正パッチの未適用です。修正パッチとは、ソフトウェアに見つかった不具合や脆弱性などを修正するために提供される更新プログラムです。開発後に判明した不具合に対しては、多くの場合アップデートを行うために修正パッチが提供されます。この修正パッチが適用されないまま運用されると、脆弱性が助長され、攻撃者にとっては格好の標的となってしまいます。

技術的な欠陥は目に見えづらい分、発見が遅れやすく、被害が出るまで気づかないこともあるため注意が必要です。

2-2.ソフトウェアやシステムの不適切な管理

ソフトウェアやシステムの管理体制が不十分なまま運用されることも、脆弱性が生まれる原因の一つです。

例えば、ソフトウェアを古いバージョンのまま使い続けていると、最新のウイルスや進化した攻撃手法に対応できなくなります。また、強度の低いパスワードの使い回しや、承認ルールの未整備といった管理の甘さも、リスクを高める要因です。

このようなずさんな管理により、重要なファイルに誰でもアクセスできる状態になっていたり、本来慎重に扱うべき入出金処理などが簡単に操作できてしまっていたりするケースも少なくありません。

脆弱性を防ぐための最も基本で確実なセキュリティ対策は、日々のシステム管理や運用ルールの見直しです。

2-3.不注意による人為的なミス

脆弱性が生まれる原因は、システム上の欠陥だけとは限りません。従業員のちょっとした不注意や判断ミスも、重大な脆弱性を生む要因となります。

例えば、誤って別の取引先に機密情報を添付したメールを送信してしまったり、怪しいメールのリンクを何気なくクリックしたことでマルウェアに感染したりするケースです。また、社内でのSNS利用による情報漏えいや、コーディング時の単純なミスがシステムの脆弱性を引き起こすこともあります。

こうした人的リスクは、日々の業務に潜むからこそ、ITリテラシーの底上げと仕組みでの対策が求められます。

2-4.仕事環境の物理的な欠陥

サイバー攻撃のリスクは、ネットワークやソフトウェアの中だけにあるとは限りません。実際には、オフィスの物理的な環境や管理体制の甘さが、脆弱性につながることもあります。

例えば、入退室の管理がされていないオフィスでは、外部の人が自由に出入りでき、端末に触れることが可能です。また、ノートパソコンを施錠せずに放置していたり、USBメモリを誰でも自由に持ち出せるような環境では、情報漏えいのリスクが高まります。

このような物理的な欠陥は、実際に被害が発生すれば取り返しがつかない事態を招きかねません。社内でのルールの徹底が必要と言えるでしょう。

3.脆弱性を放置するとどうなる?代表的なサイバーリスクと被害の実例

ここでは、実際に起きた被害事例を交えながら、脆弱性が引き起こす代表的なリスクを紹介します。脆弱性を見逃したまま放置していると、サイバー攻撃の標的となり、深刻な被害を招く恐れがあります。しっかり把握して対策を行いましょう。

3-1.不正アクセスによるマルウェア感染や情報漏えい

脆弱性を放置していると、社内ネットワークやOS、クラウド環境、さらにはWebページまで幅広く不正アクセスの対象となります。攻撃者が入り込むと、システムにマルウェアが仕込まれたり、重要なデータが盗まれたりといった被害が発生しかねません。

マルウェアとは、ウイルスやスパイウェアなど、悪意あるソフトウェアやコードの総称です。中にはWebサイトにスクリプトを埋め込む「クロスサイト・スクリプティング」のように、ネットワークに侵入せずとも、Webページ上のスクリプトを通じて不正な操作が行われる手口もあります。

マルウェアについては、こちらの記事をご覧ください。
>>マルウェアについて、詳しくはこちら

3-2.脆弱性がもたらした実際の被害例

ここでは、実際の3つの事例から、脆弱性がどのような影響を与えたかを紹介します。

3-2-1.LINEヤフー(旧ヤフー)|約40万件の個人情報漏えい

2023年11月、LINEヤフー(旧ヤフー)では、外部からの不正アクセスにより約44万件もの個人情報が漏洩する重大なインシデントが発生しました。被害に含まれたのは、Yahoo! JAPAN IDやメールアドレスなどの機密情報で、さらに攻撃者がサーバー内部のファイルにアクセスした可能性があることが確認されています。

本件では情報管理体制や外部委託先のセキュリティに関する脆弱性が指摘されており、自社システムだけでなく外部との連携部分のセキュリティ確保の重要性が浮き彫りになりました。

参考:LINEヤフー株式会社「不正アクセスによる、情報漏えいに関するお知らせとお詫び」

3-2-2.三菱電機ホーム機器|最大約231万人の個人情報漏えいの可能性

2024年4月、三菱電機ホーム機器において、情報システムサーバーが外部から2回にわたり不正アクセスを受け、最大で約231万人分の個人情報が漏えいした可能性があることが明らかになりました。漏えいの恐れがある情報には、氏名や住所、連絡先などが含まれており、企業としての信用にも大きな影響を与えました。

攻撃者は、サーバー内のデータを閲覧可能な状態にあったとされ、脆弱性を突かれた可能性が高いと報じられています。

この事例からは、サーバー構成やアクセス制御の見直し、定期的な診断の必要性が強く示唆されています。

参考:三菱電機ホーム機器株式会社「当社情報システムに対する不正アクセスによる個人情報流出の可能性に関するお知らせとお詫び」

3-2-3.神奈川県庁|転売によるHDD内データの流出

2019年11月、神奈川県庁で使用されていたサーバーのHDD18台が、インターネットのオークションサイトで転売され、内部に保存されていた個人情報や行政文書が外部に流出する事件が発生しました。なお、HDD(ハードディスクドライブ)はパソコンやサーバー内のデータを長期間保存するための記憶装置のことを指します。本件は技術的な不備ではなく、情報管理体制の不備による「運用上の脆弱性」が招いた事件です。

本来、HDDはデータ消去を専門業者に委託して処分される予定でしたが、委託先業者の社員が不正に持ち出し、転売していたことが原因です。流出した情報には、住民の納税記録や職員の業務データなど、機密性の高い情報が含まれていました。

この事例は、システムやソフトウェアの管理だけでなく、物理的な情報機器の取り扱いや委託業者の管理体制まで含めたセキュリティ対策の必要性を示しています。

参考:株式会社ブロードリンク「当社管理下にあるハードディスク及びデータの外部流出に関するお詫び」

3-3.脆弱性放置で企業が受けるダメージ

脆弱性を放置したままにしていると、企業は想像以上に大きなダメージを受ける可能性があります。具体的なダメージとして挙げられるのは、以下の3つです。

  • 営業停止による売上への影響
  • 顧客からの信頼性低下
  • トラブル対応にかかるコスト負担

サイバー攻撃によって業務システムが停止すれば、通常の営業活動がストップし、売上に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。

また、顧客情報が流出した場合には信頼の失墜を招き、取引停止や契約解除といった事態に発展することもあるでしょう。

さらに、被害対応には調査費用や復旧費用がかかるほか、顧客への謝罪や損害賠償が発生するケースもあります。こうしたコストはすべて企業の負担となり、経営を揺るがすリスクとなりかねません。脆弱性対策は、どのような企業においても必要不可欠であることが分かります。

4.企業が備えるべき脆弱性への6つの対策ステップ

ここでは、脆弱性の対策として5つの方法を紹介します。脆弱性は完全に排除することが難しいものです。しかし、適切な対策を講じることでリスクを大幅に減らし、被害や影響を最小限に抑えられます。詳しく見ていきましょう。

4-1.セキュリティ対策の情報収集

セキュリティ対策においては、信頼できる情報源から定期的に情報を収集しておく必要があります。なぜなら、サイバー攻撃の手口は日々巧妙化しているからです。最新の情報を把握しておけば、自社で利用しているソフトウェアやシステムに脆弱性が発見された場合、早急かつ適切に対応できます

国内の脆弱性情報を公開している「JVN(Japan Vulnerability Notes)」では、製品別の脆弱性やその深刻度、対処方法が確認できます。最新のセキュリティソフトやツールに関する情報もあわせてチェックし、自社に合った対策を検討しておくことが大切です。

参考:JVN(Japan Vulnerability Notes)

4-2.適切な資産管理

セキュリティ対策の一環として、社内のIT資産を正確に把握し管理することは非常に重要です。まずは、PCやサーバー、ソフトウェアなどの機器やシステムに関する情報を管理台帳で一元管理しましょう。OSの種類やバージョン、利用者、設置場所などを明確にしておくことで、不要な機器の放置や更新漏れによる脆弱性の発生を防ぎ、内部不正の抑止にもつながります

さらに、自社でWebサイトを構築したりソフトウェアを開発したりする場合は、リリース前に脆弱性診断やテストを徹底することも忘れてはなりません。正しい資産管理は、セキュリティ体制の土台となる重要なステップです。

4-3.脆弱性診断の実施

脆弱性診断は、自社のネットワークやソフトウェアに脆弱性が潜んでいないかを調べるための重要なステップです。専門の診断ツールを使って、システムの設定ミスや古いソフトウェアによるリスクなどを洗い出すことで、被害が起きる前に対策を講じられます。また、セキュリティエンジニアによる手動診断では、システムの設計や業務フローの欠陥によるビジネスロジック脆弱性を見つけることもできます。

なお、弊社では、ツールによる効率的な診断と、専門家による手動診断の強みを組み合わせたハイブリッド型のセキュリティ診断を提供しています。より網羅的で実効性の高い診断をご希望の場合は、ぜひ弊社のサイバーセキュリティサービスをご検討ください。
>>弊社サイバーセキュリティサービスについて、詳しくはこちら

特に中小企業では、セキュリティ担当者が少ないケースも考えられるため、外部の専門業者による診断を活用するのも効果的です。定期的な診断は、安心してビジネスを継続するための備えとなります。

4-4.バグバウンティプログラムの実施

セキュリティ対策においては、バグバウンティプログラムの活用も効果的です。

バグバウンティプログラムとは、外部のセキュリティ専門家やホワイトハッカーに自社のWebサイトやシステム内の脆弱性の調査を依頼し、発見された脆弱性に対して報奨金を支払う仕組みのことを指します。

従来のセキュリティ対策では見つけにくい、高度な脆弱性や未知の脆弱性(ゼロデイ脆弱性)を発見するために、世界中の多様なスキルを持つ専門家が参加するため、多角的な視点から脆弱性が発見されやすく、継続的に実施することで最新の脅威にも対応できます

弊社Priv Techでは、グローバルで実績を持つバグバウンティプラットフォームと提携し、バグバウンティプログラムを提供しています。詳細は以下よりご確認ください。
>>Priv Techのバグバウンティプログラムについて、詳しくはこちら

4-5.ソフトウェア・ネットワーク機器のアップデート

使用しているソフトウェアやネットワーク機器は、定期的にアップデートを行うことがセキュリティ対策の基本です。古いバージョンのまま放置されたソフトウェアやネットワーク機器には脆弱性が残ったままとなり、サイバー攻撃の格好の標的になります。業務に支障が出ることを恐れてアップデートを後回しにしてしまうと、大きなリスクにつながりかねません。

アップデートには、セキュリティパッチだけでなく機能改善も含まれており、安定した運用にも役立ちます。自動更新の活用や、機器ごとの更新スケジュール管理を徹底し、安全なシステム環境を維持しましょう。

4-6.従業員へのセキュリティ教育

セキュリティ対策においては、技術的な対策だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることが重要です。

サイバー攻撃の多くは、人の不注意や判断ミスを突いて仕掛けられます。例えば「不審なメールに添付されたファイルは開かない」「怪しいリンクをクリックしない」などといった基本的なITリテラシーを身につけることは、重大な情報漏えいを防ぐ第一歩です。

社内では、セキュリティに関する定期的な研修や、実践的なテストを実施することで、知識の定着を図りましょう。日常の行動が企業全体のセキュリティを左右することを伝えていくことが大切です。

5.まとめ|完全になくせない脆弱性だからこそプロのセキュリティ対策を

脆弱性は、どれだけ対策を講じても完全にゼロにはできません。だからこそ、自社の状況やリソースに応じて、実効性のある対策を継続することが重要です。

「限られた人員や知識だけでセキュリティを維持するのは難しい」「自力の対応には限界がある」などの問題を抱えている企業こそ、専門家の視点やノウハウを取り入れることが、リスクを最小限に抑える近道です。

Priv Tech株式会社のサイバーセキュリティサービスを活用すれば、自社では気づきにくい脆弱性をプロの目で診断・指摘してもらうことができ、安心して業務に集中できる環境を整えられます。自社のセキュリティレベルが気になるときは、ぜひお気軽にご相談ください。外部の力を味方につけたセキュリティ対策を始めましょう。

>>Priv Techのサイバーセキュリティサービスについて、詳しくはこちら