キーロガーとは?種類や主な被害、おすすめの対策を解説

キーロガーはデバック作業や社員の業務監視など、正当な目的で利用されるツールです。しかし、その便利な機能が悪用されると、パスワードやクレジットカード情報が窃取される危険性があります。
本記事では、キーロガーの定義から、特徴、種類、実際の被害事例、そしてそれらを防ぐための効果的な検出方法と対策について初心者の方にも分かりやすく解説します。適切な対策を講じて、キーロガーの脅威から機密情報を守りましょう。
1. キーロガーとは
キーロガーとは、キーボードやスマートフォンの入力情報を不正に記録するマルウェアの一種です。キーロガーに感染すると、クレジットカード情報やパスワードが窃取されたり、企業の機密情報が流出したりする恐れがあります。
本来、キーロガーはソフトウェア開発やシステム管理を目的に作られました。例えば、プログラムやシステム内のバグを見つけて修正するデバック作業や、社員の業務監視、保護者による子どもの見守りなど、正当な用途で用いられます。
サイバー攻撃者はこうしたキーロガーの機能を悪用し、PCのキーボードで入力された文字列を不正に記録するサイバー犯罪を仕掛けるのです。
1-1. キーロガーの種類
キーロガーは大きく2種類に分類され、それぞれ特徴や感染経路が異なります。以下を参考に、キーロガーの種類ごとの特徴を把握しましょう。
1-1-1. ソフトウェア型キーロガー
ソフトウェア型キーロガーとは、デバイスにインストールされるタイプのプログラムです。フリーのソフトウェアをダウンロードしたり、フィッシングサイトのリンクをクリックしたりすることで感染します。
ソフトウェア型キーロガーの特徴は、隠密性に長けていることです。PC上で動いているプログラムを管理するタスクマネージャーに表示されないように設計されているものも多く、長期間感染に気づけない場合も少なくありません。
1-1-2. ハードウェア型キーロガー
ハードウェア型キーロガーとは、PCのUSBポートなどに物理的に設置されるタイプのプログラムです。サイバー攻撃者によって取り付けられることで、情報を不正に抜き取られます。また、キーボード内に直接キーロガーが組み込まれていることもあります。
キーロガーは見た目が一般的なUSBに見えることから感染に気づきにくいという特徴があります。また、セキュリティソフトによる検出が困難な点も特徴的です。
2. キーロガーに感染した場合に生じるリスク
ここからは、キーロガーへの感染で生じる3つのリスクについて解説します。キーロガーの主なリスクを知り、危機管理を高めましょう。
2-1. クレジットカード情報やパスワードの窃取
キーロガーに感染すると、PCやスマートフォンで入力したクレジットカード情報やパスワードが盗まれる危険性があります。これらの情報を盗まれると、不正利用や不正ログイン、なりすましによる信用の失墜などの被害が考えられます。
特にパスワードを使い回ししている場合は、1つのパスワードが盗まれると他のサービスにもログインされる「パスワードリスト攻撃(クレデンシャルスタッフィング)」に遭うリスクがあるため注意が必要です。
2-2. 個人情報の流出
クレジットカード情報やパスワードとともに、氏名や住所をはじめとする個人情報の流出のリスクも生じます。個人情報が流出するとプライバシーが侵害され、社会的信用の損失を招く恐れがあります。
具体的には、SNSや通販サイトでのなりすまし被害やアカウントの乗っ取りなど、金銭的な損害はもちろん法的トラブルに巻き込まれる危険性もあるでしょう。
2-3. 機密情報の漏えい
社内PCにキーロガーが仕込まれると、企業の機密情報が漏えいする危険性があります。例えば、企業の情報システムへのログイン情報や、業務に関するメールの内容、顧客データなどが抜き取られ、企業の信用の失墜や賠償問題を招いたケースも少なくありません。
3. 実際にあったキーロガーの被害事例
キーロガーは深刻な被害を招くマルウェアであり、実際に企業や学校での被害も報告されています。以下に、甚大な被害をもたらした3つの被害事例を挙げました。
3-1. 2025年:企業・政府機関向けのWebログインページへの埋め込み
2025年6月、企業・政府機関向けのアプリケーションであるOWAのログインページにキーロガーが埋め込まれていることが公表されました。ログイン時に入力したID・パスワードがリアルタイムに窃取され、外部に送信されていたとのことです。
被害範囲は非常に大きく、政府機関22サイトを含む世界中の組織が対象となっており、アジア・ヨーロッパ・アフリカ・中東にまたがって多数の被害が報告されています 。
参考:Help Net Security | Researchers unearth keyloggers on Outlook login pages
3-2. 2018年:ホテルの予約システムが侵害され、個人情報が流出
2018年11月、マリオット・インターナショナルは、Starwoodのゲスト予約データベースへの不正アクセスを公表し、当初は最大約5億人の個人情報が影響を受けた可能性があると説明しました。FTCの文書によれば、この侵害では攻撃者がStarwood環境内にRemote Access Trojan(RAT)やキーロガー、メモリスクレイピング型マルウェアなどを設置していたとされており、キーロガーが実際に用いられた大規模事例として紹介できます。ただし、この事件はキーロガー単独によるものではなく、複数のマルウェアの使用や長期にわたる不正侵入、監視・認証体制の不備が重なって拡大した事案として理解するのが正確です。
この史上最大級のホテル情報漏えい事件は、世界中に大きな衝撃を与え、企業におけるサイバーセキュリティ対策の不備がどれほど深刻な被害につながるかを示す象徴的な事例となりました。
3-3. 2017年:中学校でのUSBキーロガー設置
2017年10月、岐阜県の市立中学校に30代の男が不法侵入し、校内のPCにハードウェア型キーロガーを設置して逮捕されました。犯人は校内のPCからID・パスワードを窃取し、生徒の写真データを約1,000点入手したとのことです。
市教育委員会はサイバー攻撃の脅威を実感し、サーバ内の情報管理を徹底すると表明しました。
参考:サイバーセキュリティ.com | 中学校のPCにキーロガーを設置‐不正アクセス禁止法違反などで男を逮捕
4. キーロガーの検出方法
キーロガーの感染は気づきにくく、被害が長期化することもめずらしくありません。とはいえ、キーロガーを検出する方法はいくつか存在し、適切な手法やツールを用いれば高い確率で発見することが可能です。
以下にキーロガーの種類別の検出方法をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
4-1. ソフトウェア型キーロガーの場合
ソフトウェア型キーロガーを検出するには、セキュリティソフトを活用するのが一般的です。フルスキャンを実行してキーロガーの有無をチェックした後、指示に従って隔離・削除を行いましょう。
また、タスクマネージャーを開き、見慣れないプロセスがないか確認することも重要です。不審なプロセスを見つけた場合は、ただちに終了して完全に削除してください。
4-2. ハードウェア型キーロガーの場合
ハードウェア型キーロガーはPCのUSBポートなどに取り付けられるため、身に覚えのない機器が接続されていないか確認することで発見できます。
ただし、ハードウェア型キーロガーは一般的なUSBに見えることが多く、見つけにくい場所に設置されている場合もあるので、定期的なチェックが欠かせません。
5. キーロガーの感染を防ぐための対策
キーロガーによる被害を避けるには感染を未然に防ぐ必要がありますが、具体的にどのような対策を講じるべきなのでしょうか?
そこで、ここからはキーロガーの感染を防ぐおすすめの対策をご紹介します。
5-1. セキュリティソフトを導入する
キーロガーの感染を防ぐには、セキュリティソフトの導入がおすすめです。セキュリティソフトを用いて定期的にフルスキャンを行えば、キーロガーを検出し、自動的に駆除してくれることも期待できます。
なかにはキーロガーに特化したセキュリティソフトもあるので、導入を検討してみましょう。
5-2. 外部機器の接続を制限する
ハードウェア型キーロガーの感染を防ぐために、外部機器の接続に制限を設けておくことも有効な対策です。例えば、社内で認証された機器以外の接続を禁止したり、接続する機器のウイルススキャンを徹底したりして、キーロガーの被害を未然に防ぎましょう。
5-3. 信頼できないリンクや添付ファイルは開封しない
ソフトウェア型キーロガーによる被害を防ぐには、怪しいリンクをクリックしたり、不審な添付ファイルを開封したりしないことが重要です。特にメールの添付ファイルには細心の注意を払い、送信元やファイル名の確認を怠らないようにしましょう。
また、信頼できないソフトウェアやアプリケーションのインストールを避けるなどの警戒も必要です。開発元の不明なフリーソフトや、公式ストア以外のアプリケーションは極力避けてください。
6. まとめ:キーロガーの脅威に備えるには、日々のセキュリティ対策が鍵
キーロガーは隠密性に長けており、知らぬ間にクレジットカード情報やパスワード、企業の機密情報が窃取される危険性があります。実際にキーロガーによる被害は複数報告されており、金銭的な損害や社会的信用の失墜など、深刻な被害に悩まされている企業も少なくありません。
弊社Priv Techが提供するサイバーセキュリティサービスでは、サイバー攻撃者が侵入口とする脆弱性を早期に発見して修正することで、キーロガーのようなマルウェア感染のリスクを軽減することができます。増加の一途をたどるサイバー攻撃に対処するために、リスクの可視化と軽減に努めましょう。
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