クラウドセキュリティとは?重要性や具体的なリスク、必要な対策を解説

セキュリティ 2026.06.02
クラウドセキュリティとは?重要性や具体的なリスク、必要な対策を解説

クラウドサービスの普及に伴って、重要視されているのがクラウドセキュリティです。クラウドセキュリティとはクラウド環境におけるセキュリティ対策を指し、2011年には総務省が「クラウドセキュリティガイドライン」を公表したことで注目を浴びました。

そこで本記事では、クラウドセキュリティについて分かりやすく解説します。クラウドサービスを利用する主なリスクや、講じるべき対策もまとめているので、クラウドサービスの安全な利用に役立ててください。

1.  クラウドセキュリティとは?その定義と重要性

クラウドセキュリティとは、クラウドサービスの利用におけるセキュリティ対策のことです。クラウドサービスとは、自社でサーバやソフトを持たず、インターネット経由で事業者が提供するサーバ、ストレージ、アプリケーションを利用する仕組みのことです。ファイル保存・メール・業務システムなどを、場所や端末を問わず使える反面、インターネット経由でアクセスするからこそのセキュリティリスクにも注意が必要です。具体的には、クラウド環境に保存されているデータの保護や不正アクセスの防止、サイバー攻撃への対策などが挙げられます。

1-1. クラウドセキュリティの重要性

利便性の高さが魅力のクラウドサービスですが、クラウドサービスには情報漏えいやサイバー攻撃などのリスクがあり、利用には細心の注意を払う必要があります。特に企業の場合は機密情報が流出したり、多大な経済的損失が生じたりと、さまざまな深刻な影響が発生します。
そこで重要視されているのが、クラウド環境におけるセキュリティ対策を意味するクラウドセキュリティです。近年、クラウド環境を狙ったサイバー攻撃や認証情報の窃取なども増加しており、このクラウドセキュリティへの注目度が高まっています。

1-2. 総務省が「クラウドセキュリティガイドライン」を公表

クラウドセキュリティの重要性の高まりを受け、2011年には総務省より「クラウドセキュリティガイドライン」が公表されました。このガイドラインはクラウドサービス利用者に向けられたもので、クラウドサービスの利用にあたって注意すべきポイントや、必要な対策についてまとめられています。

このガイドラインは複数回改訂されており、最新版ではさらに詳細な情報が提供されています。

参照:総務省「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)」

1-3. 参考:NIST サイバーセキュリティフレームワークについて

NIST サイバーセキュリティフレームワーク(CSF)とは、米国国立標準研究所(National Institute of Standards and Technology, NIST)が2014年に発行した、サイバーセキュリティ対策を体系的に実施・管理するためのフレームワークです。このフレームワークの特徴は汎用的かつ体系的であることで、読者がいかに素早く理解できるかを念頭に置いて作成されています。

CSFはサイバーセキュリティ対策全般を対象としていますが、クラウドサービスを利用する企業がセキュリティ対策の全体像を把握し、どの対策が不足しているかを体系的にチェックする際に役立ちます。クラウド環境におけるセキュリティ対策も組織全体のセキュリティ戦略の一部として整理・評価する上で、CSFは共通言語として活用されているため、併せてご参照ください。

参照:米国国立標準技術研究所「サイバーセキュリティフレームワーク(CSF)2.0」

2. クラウドセキュリティの「責任共有モデル」とは

クラウドセキュリティについて解説するうえで欠かせないのが、「責任共有モデル」です。責任共有モデルとはクラウドサービスの利用者と事業者の間で、クラウドサービスのセキュリティに関する責任を共有し合うためのフレームワークのことです。

クラウドサービスのセキュリティに関する責任範囲は、クラウドの利用形態によって異なります。以下を参考に、利用形態ごとの責任範囲を確認しましょう。

2-1. SaaS

SaaS(サース、サーズ)とは"Software as a Service"の略称で、インターネット経由でソフトウェアを利用できるサービスです。SaaSの利用者は格納するデータそのものの管理の他、一部ユーザーのアクセス権限やセキュリティ設定に関する責任を負うことがありますが、その他の設定や運用に関しては事業者に責任があります。

2-2. PaaS

PaaS(パース)とは"Platform as a Service"の略称で、事業者が構築したプラットフォームをインターネット経由で利用できるサービスです。PaaSの利用者の責任は格納されているデータの管理と、PaaS環境で開発したアプリケーションの管理にあり、SaaSよりセキュリティの責任範囲が大きくなります

2-3. IaaS

IaaS(イアース、アイアース)とは"Infrastructure as a Service"の略称で、事業者が用意した仮想サーバやストレージ、ネットワークなどのインフラ機能をインターネット経由で利用できるサービスを指します。IaaSはPaaSと混同されがちですが、PaaSが開発プラットフォームを提供するサービスであるのに対し、IaaSはリソースそのものを提供するサービスです。

IaaSの利用者の責任範囲は大きく、OS管理から監視・ログ管理まで広範囲に渡ります。SaaSやPaaSとは異なり、さまざまな責任を負うため高度なセキュリティ対策が必要不可欠です。

3. クラウドサービス利用時の主なリスク

クラウドセキュリティ対策を紹介する前に、クラウドサービスの利用にあたって考えられる主なリスクを紹介します。クラウドサービスを利用する場合は、以下のリスクに注意しましょう。

3-1. 情報漏えい

クラウドサービスを利用する際の深刻なリスクの一つに、情報漏えいがあります。例えば、アクセス権限の設定ミスが生じた場合、誰でもファイルにアクセスできるようになり、機密情報が流出する可能性があります。 

また、事業者や外部ベンダーのセキュリティ対策が不十分だった場合も情報が流出し、経済的損失が発生したり、顧客からの信頼を失ったりする危険性があります。

3-2. サイバー攻撃

クラウド環境の脆弱性を突かれて、サイバー攻撃を仕掛けられるケースも多発しています。クラウドサービス利用時に気を付けたい代表的なサイバー攻撃は、以下の通りです。

3-3. ブルートフォース攻撃

ブルートフォース攻撃とは、パスワードの正しい組み合わせを総当たりして、アカウントへの不正アクセスを試みるサイバー攻撃です。場合によっては数十億通り以上にもなる数字やアルファベットを並べ替えて、ログインに成功するまで終わらない悪質な攻撃の一つです。

3-4. DDoS攻撃

DDoS(ディードス)攻撃とは"Distributed Denial of Service attack"の略称で、大量のパケットを送信することで標的のサーバやシステムに負荷をかけ、ダウンさせるサイバー攻撃です。DDoS攻撃の詳細については以下を併せてご覧ください。

>>DDoS攻撃について、詳しくはこちら

3-5. マルウェア攻撃

マルウェアとは悪意あるソフトウェアの総称で、マルウェアを用いてデバイスやシステムに害を及ぼすサイバー攻撃をマルウェア攻撃と言います。マルウェア攻撃に遭うと、機密情報の漏えいやアカウントの乗っ取り、デバイスやシステムの停止・破壊などの被害を受けます。

3-6. データ消失

クラウドサービスのサーバは事業者が管理しているため、サーバの故障やシステムの停止などのトラブルが起こると、重要なデータが失われるリスクがあります。

また、利用者の設定ミスや誤操作、保存期間を過ぎたことでの自動削除など、クラウド環境におけるデータ消失の原因はさまざまです。

3-7. シャドーIT

シャドーITとは企業や組織の許可を得ず、クラウドサービスやソフトウェア、ツールなどを従業員が勝手に導入し、業務に使用している状態を指します。シャドーITは情報漏えいや不正アクセス、セキュリティ事故、ガバナンスの崩壊などのリスクがあり、企業にとっては深刻な問題の一つです。

3-8. サービス停止

事業者が管理するサーバが故障すると、復帰するまでクラウドサービスを利用できなくなります。そうすると社内システムや顧客対応が完全に停止してしまい、ECサイトや決済機能が使えなくなった結果、多大な経済的損失を被ることになります。

4. 講じるべきクラウドセキュリティ対策5つ

ここからは、クラウドサービスを利用するなら講じるべきクラウドセキュリティ対策を5つ紹介します。まだ試みていない対策があれば、この機会に実施しましょう。

4-1. 多要素認証

多要素認証とは、クラウドサービスにログインする際に2つ以上の異なる認証要素を組み合わせて、本人確認を行う仕組みです。ユーザー名とパスワードでログインする従来の方法と比べて認証が強化され、不正アクセスや乗っ取りのリスクを軽減できます。

多要素認証に用いられる認証要素には、ワンタイムパスワードや生体認証などがあります。セキュリティ強度や使いやすさを考慮し、最適な認証要素を適用しましょう。

4-2. 暗号化

クラウドサービスを利用する場合、クラウド上に保存するデータの暗号化が望まれます。第三者が読めないように暗号化することで、情報漏えいのリスクを回避する手段です。

さらに通信も暗号化しておけば、データ転送時に情報を窃取されるリスクも軽減できます。万が一、データを盗まれたとしても内容を読まれない状態にしておくことが重要です。

4-3. アクセス制御

クラウド上のデータに対して、アクセスできる人物を制限・管理する仕組みづくりも必要です。例えば、企業の機密情報にアクセスできるのは幹部や役員に限定し、その他の従業員は閲覧できない状態にしておけば、機密情報の流出リスクを軽減できます。

このように、アクセス制御には情報漏えいのリスクを最小限に抑えて、内部不正や不正アクセスを防ぐ役割があります。

4-4. 監視ツールの導入

不正アクセスやサイバー攻撃を早期に検知し、被害を最小限に抑えられる監視ツールの導入も有効です。監視ツールはクラウド上の異常をリアルタイムで検知・記録・通知するツールで、クラウドサービスの安全な利用に欠かせません。

監視ツールにはさまざまな種類があり、それぞれ機能や価格が異なります。求める機能や予算を明確にしたうえで、自社に合うツールを選びましょう。

4-5. セキュリティサービスの活用

徹底したクラウドセキュリティ対策に努めるなら、セキュリティサービスの活用がおすすめです。セキュリティサービスはシステムやデータの保護・防御全般を担うため、異常の可視化と検知が可能な監視ツールと組み合わせることで、より高度なクラウドセキュリティ対策を実施できます。

5. まとめ

クラウドサービスは業務効率化やテレワークの推進に不可欠な存在となった一方、設定ミスによる情報漏えいやサイバー攻撃などの高度なリスクが常に潜んでいます。安全にクラウドを活用するためには、「責任共有モデル」を正しく理解し、自社の責任範囲における適切なセキュリティ対策(設定・権限管理・アクセス制御など)を講じることが重要です。

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