セミナーレポ 第2部:改正個人情報保護法を見据えた不動産業界の集客施策の見直しと準備
株式会社LIFULL Marketing Partners(以下、LIFULL)は、Priv Tech株式会社(以下、Priv Tech)と「改正個人情報保護法を見据えた不動産業におけるこれからのデジタルマーケティング」をテーマにWebセミナーを開催しました。
第1部 改正個人情報保護法の解説とPriv Tech社サービスについて
第2部 改正個人情報保護法を見据えた不動産業界の集客施策の見直しと準備
プロフィール
株式会社LIFULL Marketing Partners 事業開発部 部長 斉藤秀典氏
2009年 LIFULL(旧社名ネクスト)入社。不動産サイト LIFULL HOME'Sの営業・マネージャーとして主に分譲マンション 戸建領域を担当。2015年よりLIFULL Marketing Partnersへジョイン。広告代理事業と海外投資家向けイベントやM&Aサービスなど新規事業に取り組み、現在は同社にて新規サービス開発に従事。 |
株式会社Priv Tech 代表取締役 中道 大輔
ソフトバンク、ヤフーを経て、現職。データビジネス関連事業のビジネス・ディベロップメントに従事。現在は、Priv Techにてプライバシー・ファーストなデジタル社会を目指し、事業を展開。また、親会社ベクトルにて、6月からCPO(Chief Privacy Officer)に就任、グループを横断しユーザーのプライバシーを守るべく組織作りをおこなう。 |
セミナーの目的 「法改正に伴うプライバシー対策の必要性について」
ビッグデータやAIを駆使したビジネスやサービスが急拡大し、日常生活が便利になる一方で、パーソナルデータの取り扱い方によってはプライバシー保護が脅かされることが社会的な問題となっています。インターネットをビジネスに取り入れる全ての企業にとって、データの活用とプライバシーの保護を両立させる「プライバシーテック」の重要性を理解することが求められるようになってきています。
改正個人情報保護法の施行後はパーソナルデータに対する個人の権利が強化されると共に、法令違反に対するペナルティも強化されていきます。今後、企業はパーソナルデータの取得・取り扱いに関してより一層の注意と配慮が求められるようになります。不動産領域に関しても、これまでのWeb広告のKPI変更や役割の分散、データの取り扱いなどを現時点から準備していくことが求められます。
斉藤氏は不動産業界における集客構造の変化と今回の個人情報改正の影響について切り出します。
不動産業界の集客構造が変化
斉藤氏は、コロナ禍で不動産業界のデジタル施策が加速していると述べつつ、法改正とCookie制限の影響を懸念します。
斉藤
Googleの3rd Party Cookie規制にともない、2022年1月から春先以降は「Cookieの制限」で不動産業界においても広告施策上で影響がでると思います。
最近では、正しく影響を理解するべく情報収集されている企業や、Cookieに依存しないPR系の施策を進める不動産企業が増えております。
オンライン営業やデジタル化が進んできている反面、今後の法改正などを理解せずに進めていくと、「積み上げてきた勝ちパターン」が通用しなくなるので、今後1年間の動きを見据えて準備することが重要です。
コロナ後の集客ポイント
斉藤氏は、不動産業界におけるコロナ後の集客ポイントを説明しました。
斉藤
いままでのように「対面営業」を軸とした集客から、企業のブランディングやオンラインでのナーチャリング(顧客醸成)がポイントになっています。
ブランディング・マーケティングはプラットフォームやSNSを活用した「企業として選ばれる土台つくり」が大切です。
普段からオンラインのコミュニケーションツール(ZOOM、LINE公式アカウントなど)を活用して、顧客との関係づくりが重要になってきています。
実際にLIFULL Marketing Partnersへの相談が増えていることにも触れました。
斉藤
コロナの影響で2020年4~5月は、不動産業界では対面営業もリアル開催のセミナーも制限がかかりました。緊急事態宣言解除後も、集客や接客シーンにおいて新しい取り組みの検証を進める企業が一気に加速した印象です。このような背景から下記のようなご相談内容が増えています。
- ブランディング支援などのマーケティング全般の相談
- オンライン施策
- デジタルを活用したコミュニケーション施策
LIFULL Marketing Partnersでは昨年からパッケージサービスを展開しております。
詳しくはこちらをご覧ください。
不動産業界における集客広告の30%以上はCookie規制の影響あり?
次にCookie規制で予測される広告への影響を解説しました。
斉藤
弊社では、多くの不動産会社様のプロモーション支援をしております。
リスティング・ソーシャル・SEO・ポータルなどあらゆる広告を扱いますが、リターゲティング広告やDSP広告の割合は全体の30%ほどあります。少なくともこの30%がCookie規制の影響を受けると予測しています。
リターゲティング・リマーケティング広告・3rd Party Cookieを使うDSP広告の影響を念頭に置き、戦略立てをおこなう必要があります。
物件の規模ごとに影響予測を算出
斉藤氏は不動産のプロジェクト規模による広告種別や注意点を説明します。
斉藤
まず、プロジェクトの規模(戸数、区画数)によって広告配分が変わります。
50~70戸の場合
- 総広告費に限りがあるため効率的にCVが取れる施策が優先される
- 販売中期〜後期にかけ、リターゲティング広告などの比率が高まる
100戸以上の場合
- 広範囲の集客が必要なため、ターゲティング広告やDSP広告の投下が多い
- 刈り取りとしてリターゲティング広告が継続的に使われている
100戸以上の大規模プロジェクトは、50%ほどの広告施策に影響あり?
斉藤
大規模プロジェクトは広範囲から集客が必要でターゲティング広告・DSP広告の比重がある程度高くなります。そのため過去の広告プラン表から見ると約50%が影響を受ける広告メニュー構成となっており、集客シミュレーションに影響がでると予想しています。
とくにマンションや戸建系の広告は、短期間に予算を投下して一気に母集団を集めていく広告戦略が多いので、影響を受けやすいと思います。
住まいサイトへの影響は50%近くになることも
斉藤氏は、住まいサイトにおける集客も影響を受けると説明します。
斉藤
住まいサイトの集客施策では、一度サイトに訪れたユーザーをリタゲやリマケで追いかける設計をしている企業が多いです。現状、50%近くの割合で3rd Party Cookie規制や改正個人情報保護法による規制の影響を受けるのではないかと予想されます。
不動産業界におけるCookie影響外の施策構築について
ここまで影響予測と課題を整理してきました。ではどのような方法で課題を解決すべきなのでしょうか。斉藤氏は、Cookieデータの利用許諾などの対策に加えて、Cookie規制の影響を受けない部分の施策構築も重要と解説しています。
斉藤
昨年より、ウェビナーで全国の不動産会社様と意見交換をおこなっていると、集客のポートフォリオや戦い方の見直しが大切だと実感しますね。そこでCookieデータに依存しない施策を5つに絞って解説します。
5つのポイント
- ウェビナー開催とオンラインツールの活用
- ブランディング系動画の作成、活用
- LINE公式アカウントでのメルマガ的な活用
- Googleマイビジネスの活用
- 各種SNSの活用
① 定期的情報発信(高頻度でウェビナーを開催する等)が認知へつながる
斉藤氏は、「ウェビナー開催やオンライン接客ツールなどを活用しコミュニケーションを深めていくことでタッチポイントが増えるはず」だと述べます。
斉藤
実際に私の担当でほぼ毎日ウェビナーを開催しているお客様がいます。毎日開催していると、人が集まる流れができてきます。ユーザーがスムーズに情報を受け取れる環境を構築しておくことが重要です。
② 自社のファンになってもらうためのブランディング動画施策
斉藤氏は、エリア密着でやっている企業やこだわりのある商品を創っている企業には動画を活用したブランディング施策も効果的と述べます。
斉藤
弊社では動画の作成依頼が増えています。作成された動画はSNS(とくにInstagram)を用いて発信されます。ブランディング動画の活用は企業のファン獲得につながります。YouTubeチャンネルは企業の伝えたいことを積み重ねることでファンを構築できるため、検討をおすすめします。
動画ブランディングは大きく2つに分かれています。
- 多くの作品の積み重ね、継続による企業のブランディング
- 企業や商品のコンセプトを伝えるCM的な動画を軸とした企業ブランディング
斉藤氏は、「企業ブランディングを通じてファン化 → 選ばれる状態をつくっていくことが大切だ」と強調しました。
Point:ブランディング系での動画の進め方
- 物件情報発信系(高級賃貸〜企画等)
- 企業ブランディング系(会社コンセプト等)
- 企業ブランディング系(会社代表による説明等)
- 知識情報発信系(不動産投資関連)
③ LINE公式アカウントのメルマガ的な活用
斉藤氏は、Cookieを代替するマーケティングツールとしてLINE公式アカウントは有効な方法だと説明します。
斉藤
すでに友達登録をした人に対してコミュニケーションする形です。不動産業界ではメルマガの代用でコミュニケーションが進むと思います。LINE公式アカウントは使いやすい機能が搭載されており、どのマーケットでも使われています。
LINE公式アカウントの基本機能
- メッセージ配信:友だち追加したユーザーにメッセージを送れる
- LINEチャット:ユーザーからの問い合わせに対して、LINEトークと同じように直接コミュニケーションができる
- タイムライン配信:友だち登録しているユーザーのタイムラインに情報を投稿できる
- リッチメニューの設置:ユーザーがLINE公式アカウントのトーク画面を訪れた際、画面下部に大きく開くメニューを設置できる
- その他機能:販促機能、LINEコール、友だち追加広告、レポート機能など
LINE公式アカウント 不動産業界における活用方法
斉藤
情報発信のためにメルマガとしての活用や実際のコミュニケーションをするやり方です。友達が一定数いるような不動産会社では、その中でターゲティングをしてリストにアプローチしています。この方法でも、日々情報発信を積み重ねて、顧客とより良い関係を作るのがおすすめです。またLINE公式アカウントでは、「リッチメッセージ」を使って発信をすると効果的です。
④ Googleマイビジネスでの会社情報のPRや投稿活用
Googleマイビジネスの基本的な機能
- 写真が25点まで登録できる
- 口コミを掲載できる
- 会社のホームページリンクが貼れる
- 投稿機能で情報発信ができる
斉藤
Googleマイビジネスで会社情報をPRすることで新規の流入を増やすことが期待できます。複数店舗や住宅展示場などでは効果がでてますね。Google検索でも、表示面積が大きいので整備をおすすめしております。
⑤ 各種SNSの活用
斉藤氏は「単発のキャンペーンなどでユーザーと交流するだけではなく、長期的な関係構築や、顧客育成ができるような体制つくりもよい方法だ」と述べました。
斉藤
各種SNSの運用は、単体だと大きなパフォーマンスが出ないこともあり、複数のSNS運用を実施することで相互のシナジーを高める企業も増えています。各種SNSアカウントの一覧ページを設けて、ユーザーがコミュニケーションの取りやすいSNSを選択できる仕組みづくりもしています。
LIFULL Marketing Partnersへのお問い合わせ
LIFULL Marketing Partnersは不動産・住宅領域を中心としたデジタルマーケティング支援をおこなっています。
- マーケティング戦略
- コンセプト作成
- コンテンツ制作
- Webデザイン制作
- システム開発(MAツール・BIツール)
- Web広告(効果検証・効果分析)
パッケージサービスの開発、展開もご相談ください。
LIFULL Marketing Partnersは不動産・住宅領域を中心としたデジタルマーケティング支援をおこなっています。
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